警察官は怖くないのか
確かに警察官をやっていた時、人に声を掛けるのをちゅうちょする時がありました。人間ですから、どんなに数をこなしていたって、どんなにトレーニングしたって、気持ちが後ろ向きになるときはあります。
声を掛ける前に、
「文句を言ってくる様な奴だったら面倒だな。」
「人目がある中でカッコ悪い姿を見せる羽目になったら嫌だな。」
「自分一人で何とかなるならいいけど、応援を呼ぶことになったら嫌だな。」
「上げ足を取るような奴なら嫌だな。」
という考えが頭をよぎった時は、気持ちが後ろ向きになっているという事です。
でも、そんな事で気持ちが後ろ向きになる事は、プライドが許しませんでした。どんなに不真面目でも「強い警察」である事は守りたい。自分が弱いせいで「強い警察」に傷がつく事は避けたかったのです。
そんな時はグッとこらえて、後ろ向きになる気持ちを前に持ってきます。後ろ向きだなと思ったその瞬間にです。そうでなければ、声を掛ける機会を失することになります。
声を掛けるベストなタイミングは、「なんか不自然だな。」と思ったその瞬間です。それなのに、ちゅうちょをしていては、うまい声掛けなんかできません。逃してしまいます。
相手に違和感を感じた瞬間、同時に後ろ向きな気持ちのモヤモヤが少しでも顔を見せたら、ムリヤリ気持ちを前に持ってくるのです。必要なのは、一歩出る勇気なのです。
そんな事をしながら数をこなしていくうちに、警察は怖さを克服している(ように見える)のです。
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