子どもが警察に捕まりましたが、逮捕されたのでしょうか?
「検挙」と「逮捕」の違いについて説明します。
例えば前回のコラムの続きで、万引き犯人として男子高校生が捕まった場合を想定します。前回は、「警察に捕まる」ことの意味についてでした。「警察に捕まる」とは「検挙される」ことであり、「万引き事件として正式に処理される」ことです。
今回はその続きで、「警察に捕まった」ということは「逮捕された」ということなのか?つまり「捕まる」と「逮捕される」は違うのか?についてです。
万引きして私服警備員に捕まった男子高校生は、正式に万引き事件として処理されることになりました。店が被害届を出し、警察が被害届を受理することになったからです。この男子高校生は検挙されたのです。ということは、この段階で逮捕されたことになるのでしょうか?
答えは「まだ」です。この段階では、まだ逮捕されたことにはなりません。検挙には「書類のみ」の場合と「身柄付き」の場合があり、身柄付きの場合が「逮捕」と呼ばれるものです。
「書類のみ」とは、「逃げたり証拠を隠したりすることがないだろうから、身体の拘束まではしない」という処理です。「身柄付き」とは、「逃げたり証拠を隠したりするだろうから、身体を拘束してしまおう」という処理です。
逮捕されるのは犯人にとっても負担が大きいため、必要がある場合のみなのです。必要がある場合とは、「逃走」もしくは「罪証隠滅のおそれ」がある場合を言います。
「逃走」もしくは「罪証隠滅のおそれ」がある場合のみ逮捕ではありますが、何を持ってして「逃走」もしくは「罪証隠滅のおそれ」と見なすかは難しいところです。正直に言うと、解釈は時と場合によります。社会情勢や世論にも影響されますし、逮捕者によっても意見が分かれるところです。
逃走と見なすのは、例えばこんな場合です。
・犯行が凶悪
・実際に今、他の事件で逃亡している
・警察からの呼び出しに全然、応じない
・保護者がいない
・保護者が当てにならない
・職質から逃げようとした
・住居不定
・余罪多数
・重大な余罪がある
・非行歴が多数
罪証隠滅と見なすのは、例えばこんな場合です。
・実際に証拠を隠そうとした
・共犯者がいて、連絡されるおそれがある
・素行不良者との交流がある
・犯罪に対して黙秘している
・犯罪に対して否認している
・事件を知っている人間を脅迫するおそれがある
このように、検挙とは「書類のみ」と「身柄付き」に別れており、「逃走」もしくは「罪証隠滅のおそれ」がある場合に「身柄付き」として処理されます。この「身柄付き」の処理のことを、逮捕と呼ぶのです。
関連する投稿
- 警察から電話で個人情報を聞かれた
- ながら運転はどこまでか。ホルダーにセットしていれば? 停止中は?
- ながら運転はハンズフリーも違反
- 職質の任意ってどのくらい任意なのでしょうか?
- 警察から住所を聞かれたのですが
現在の記事: 子どもが警察に捕まりましたが、逮捕されたのでしょうか?