子どもの非行防止と「鬼滅の刃」がいかにして繋がるのか
疾走感のある映像、目を引くキャラクター、深く聴かせるBGM。
昨日、DVDをレンタルしようとしてTSUTAYA書店に行ったんです。で、その時にTSUTAYA書店内のディスプレーで、面白そうなアニメを流しているのを見ました。昔、といっても江戸とか明治期の日本が舞台で、日本刀なんかで妖怪を切っていくアニメ。
「これ何?」
って思いました。というのも、それってプロモーションビデオだったんですけど、釘付けになりました。虫がピンで貼り付けにされるが如く、ディスプレーの前から動けなくなったんです。
「これ何? なんてアニメ? タイトルが出てくるのはいつ? 映像の最後か?」
そんなことを考えながらプロモーションビデオを最後まで見ていて。で、タイトルを確認した時に飛び込んできた文字が「鬼滅の刃」でした。
何ヶ月か前から、ちょっと気になってはいたんです。この鬼滅の刃。漫画喫茶に行っても目立つ棚に置いてありましたし。知り合いと話しているときに、「鬼滅の刃? 面白いよ?」っていう話をされた記憶がありました。
プロモーションビデオを見た時に鬼滅の刃をレンタルしたんですが、本編も面白かったです。やっぱりキャラクターがキレイですね。素晴らしい。この後もチェックしていくことになりそうです。久々にグッとくるアニメに出会えてよかった。
それはそうと、このアニメの主人公・炭治郎は優しい少年なんです。妹を背負ったりと家族思いなところはそうなんですが、敵である鬼に対しても、優しさを発揮してしまうんです。例えば、山にあるお堂で炭治郎が鬼に襲われた時。
炭治郎は、木に貼り付けられた鬼の首に、トドメを刺さなければならない状況になりました。この鬼っていうのは、さっきまで炭治郎たちを襲っていた鬼です。その鬼の首が今、木に貼り付けにされて動けなくなっている。
トドメを刺さなければ、また息を吹き返して襲ってくる。トドメを刺すならば今っていう状況なんです。けれど炭治郎はトドメを刺すことができません。優しさを発揮してしまいます。「痛いだろうなあ」とか、そんなことを思ってしまうんです。
この炭治郎の優しさっていうのが、非行とか犯罪とは真逆の精神ですね。犯罪や非行というのは、イライラとか怒りっていう負の感情から生まれます。イライラとか怒りが溜まりに溜まると、そこから非行や犯罪が生まれます。非行や犯罪をなくそうと思ったら、その根本をなくさなければなりません。
イライラや怒りをなくすにはどうすればいいのか。相手と気持ちを察することが必要なんです。相手の気持ちを想像するということです。もちろんこの想像は、こじつけでしかありません。思い込みの可能性もあります。単なる想像なので、検証は不可能です。合っているか合っていないか、それを確かめるすべはありません。ですけど、この「合っているか合っていないか」は別として、とりあえず想像することが優しさなんです。
この想像はどこから出てくるのか。それは、自分と相手を重ね合わせることで生まれます。何もないところに急に煙が立つわけがないように、何もないところに急に想像が生まれることはありません。必ず足がかりがあります。それは、自分と相手を重ね合わせることです。自分と相手を重ね合せることで、相手の身になって考えられるようになるのです。
相手の身になって考えられるようになるのに必要なのが、共通点です。共通点を見つけることで、磁石のように、相手と自分を重ねて見ることができるようになります。鬼滅の刃での炭治郎のシーンを例に挙げるなら、「この鬼にも、自分と同じように感情がある。痛みを感じる」と思ったことでしょう。
もちろん、アニメの中には「炭治郎が鬼と自分との間に共通点を見つけた」なんて出てきませんし、これは全くの私の想像です。ですけど、鬼滅の刃のこのシーンを例にとって私なりに解釈すると、おそらく炭治郎は無意識のうちに、目の前の鬼と自分に共通点を見つけた。だから、「トドメを刺せない」という優しさが、この時に生まれたのです。
非行や犯罪を防ぐには、優しさが必要であり、それは「相手の身になって考える」という想像力です。この想像力は、自分と相手を重ね合わせることで生まれます。共通点や似ている所を見つけられると、「自分だったらこうだろう。だったら相手もそう思うのではないか」と、連想できるようになります。
相手を思いやる気持ちは想像力ですが、想像力はアイディアと一緒で、何もないところからは生まれてきません。そこには足がかりが必要です。その足がかりが、連想することなのです。自分のこれまでの経験からベースを築いて、そこから相手の気持ちを連想します。
このベースは、自分と相手の共通点を見つけることで、築くことができます。なんとなく、「同じだな」とか「一緒だな」と思うだけで、親近感が湧き、相手と自分を重ね合わせることができ、イライラしている自分が滑稽でバカらしく見えてくるんです。
炭治郎が鬼に対して「痛いだろうな」と思ったように、自分の気持ちを足がかりにして想像力を膨らませます。自分と相手、2つ世界を繋げます。本来は知りようがない相手の気持ちを連想することができるようになります。
「子どもの非行防止」と「鬼滅の刃」という、一見関係のない2つの世界を、「優しさ」という共通点で繋げてみました。
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