個性とはナウシカの乗る白色の凧だ。文章に面白みを出す方法

2020.11.10 (火)

相手に面白く読んでもらうにはどうするか。僕は「繋げること」が必要だと思っている。「広げること」と言ってもいい。

 

 

面白い文章を書くには、「簡単な言葉で書く」とか、「一文一文を短くする」とか「具体的に読む人を思い浮かべる」とか色々と言われている。僕は、どれだけ広げられるか、どれだけ関係の無いことと繋げられるか、というのが面白さになると思っている。

 

 

というか、それが文章の個性なのだと思う。これは論理とは対局にあるものだ。一つ一つ緻密に積み上げていく論理。そこにあるのは演繹なので、1の次に来るのは、厳密に2でしかない。1の次に53とか105とか、そんな「飛び」は論理的な書き方ではありえない。

 

 

けれど人の頭の中というのは自由だ。丁度今、「風の谷のナウシカ」の原作を読んでいるのだけれど、白色の凧に乗って飛び回るナウシカのように、人の頭の中は自由である。

 

 

 

 

コーヒーを飲みながら「そう言えばアメリカの大統領選、どうなったかな」なんて考えるし。新聞でコロナウィルスの記事を読みながら「最近、体重が増えたから運動しなきゃな」なんて考える。まったく関係の無いことを頭の中では考えているものなのだ。そこには壁も国境もなくて、思考は自由に飛び回る。

 

 

この自由な飛び回り具合をいかに文章に記載していくかが、面白さの表れるところだ。でもって、この飛び回り具合とは個性でもある。思考の飛び回り具合は個人によってそれぞれ違う。

 

 

たとえば目の前にコーヒーが置いてあるとしても、ある人は「スタバに行きたいなあ」と考えるかもしれないし、ある人はエチオピアの発展途上地域を思い浮かべるかもしれない。一人ひとりがが違うことを考えているので、その個性的な思考の飛びを表現することによって、その文章が読まれるに値するものかどうかが決まる。

 

 

面白ければ読まれるし、面白くなければ読まれないのだけれど、面白いとは「そこに個性があるかどうか」だと僕は考える。人と同じでは読むに値しないからだ。人と同じことを言っていたのでは、わざわざ書く意味もなくなってしまう。

 

 

会議でも人と同じ意見なのであれば、わざわざ発言などしなくてもいいだろう。それまでにない価値、あるいはプラスワンの価値を込められるからこそ発言が意味をなすのであって、まったくの同じであれば言う必要はない。

 

 

価値とは、自分の個性になる。それまでの人生で見てきた光景、聞いた話、行ってきた体験。そんなものを込められるから、表現には個性にじみ出てくる。表現に面白みが出てくる。読むに値する、聞くに値するものになる。

 

 

でもって、表現に個性を含める手段が比喩でもある。比喩とはレトリックのことであって、表現におけるテクニックの1つだ。表現したいことを、他の一見関係なさそうな言葉でもって表現するのである。

 

 

最近、風が冷たくなってきたけれど、冷たい風を「突き刺すように」と表現することがある。本当なら「突き刺す」なんてのは風には使わない。「突き刺す」のは人間のすることであって、風は吹くだけである。けれど風の寒さ、体への負担、不快さを込めるために、「突き刺す」と表現するのだ。

 

 

風を「突き刺す」と喩えるのはベダだけれど、これをもっと個人的な表現にすると、個性が出て面白い。

 

 

今読んでいる読んで三島由紀夫の「金閣寺」がある。

 

 

 

面白い比喩をいくつか紹介する。たとえば

「金閣はその中へ、黒く錆び果てた巨大な金無垢の碇のように沈んでいた」(34ページから引用)

というのがある。金閣寺を碇に表現することで、主人公「私」の視線や見ている風景が読み取れる。どこか不気味で、どす黒い空気が「黒く錆びれた」とか「沈んでいた」から読み取れる。

 

 

あるいは

「空気が頭にぴったりと貼りついているようなその感覚」(45ページから引用)

なんかがあって、これは青々とした坊主頭のことを言っている。髪の毛がなくて、頭にあるのは皮膚だけである。髪の毛がなければ皮膚が直接空気に触れるので、頭の皮膚と空気が接している、という表現だ。「金閣寺」は思い文学小説だけれど、このような表現があるとユーモアを感じる。ちょいと息抜きができる感覚だ。

 

 

それから

「孤独はどんどん肥った、まるで豚のように」(13ページから引用)

なんてのもあった。孤独を豚と表現することで、「私」が孤独を忌み嫌っているような印象を持つ。醜くて、けっして孤独が格好いいものではないと思っていることがうかがえる。

 

 

というわけで、文章を面白くするには個性が必要だし、個性を表現するには比喩という飛び道具を入れるといい、という話である。人と同じでは表現するに値しなく、何も言っていないのと同じだ。そこに個性というプラスワンが入るから、読むに値する、聞くに値するものになる。

 

 

論理的な表現でなく、論理とは対局にある比喩を使うと、飛びが生まれる。読者の想像もしなかったことと繋げること。思いもよらないところにまで話題を広げる手段が、喩えることだ。

 

 

ナウシカのメーヴェは、気軽にどこにでも飛び回る。トルメキア軍の鈍重な戦艦と違って、軽々と人間関係の境をも超える。戦艦を見れば警戒心が出るけれど、ナウシカのメーヴェを見て感じるのは親近感、頼りがい、味方感だ。表現の飛びが面白さである。

 

 


 

 

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