子どもに対してイライラするのはどうしてか

2019.07.30 (火)

愛くるしい笑顔、屈託の無い仕草、一生懸命な眼差し。子どもというのはどうしてこんなにも可愛いんでしょうか。英語圏の人は、確か自分の子どものことを「マイ・エンジェル」などと言っているような記憶があるのですが、その気持ちも分かります。子どもの表情や仕草や匂い、全てに天使らしさを感じます。

 

 

が、それだけ愛くるしさを感じるということは、同じように闇の部分も抱えている、ということです。大人にとっての子どもの闇の部分とは、「イライラさせる」ということでしょう。思った通りのことをやってくれないし、言っても聞かない。これほどフラストレーションを溜めさせる存在は、他にありません。子どもとは、天使と悪魔の両方を、その内側に宿す者なのです。

 

 

子どもの愛くるしさはさておき、この闇の部分にスポットライト当てて、子どもに対するイライラを減らそう、というのが、私の取り組みでもあります。

 

 

どうして子どもにイライラしてしまうのか。それは、うまくコミュニケーションが取れないからです。この「うまくコミュニケーションが取れないからイライラする」のは、何も子どもに限ったことではなく、すべてのコミュニケーションに通ずるものです。子どもだけでなく、他のすべての大人との間で起こったイライラも、全てはコミュニケーションがうまく言っていないからです。ベストセラー本「嫌われる勇気」では、悩みのすべては全て人間関係である、とまで言い切っています。悩んだりイライラすることの原因は、遡っていけば全て人間関係、すなわちコミュニケーションに問題があるからなのです。

 

 

こんなことを言うと、「イライラさせるあの人は、確かにコミュニケーションに難があるよなあ」と思った人もいるかもしれません。実は、そう思ったあなたにこそ問題があるのです。「コミュニケーションが問題」と言われて、他人を思い浮かべた人は、自分のコミュニケーションにも難があることに気づいていません。コミュニケーションとは道路と一緒で、双方向のものです。一方通行では、道路としての機能に難ありです。人間関係に問題がある、コミュニケーションがうまくいっていない場合は、多かれ少なかれ「お互いに問題がある」というのが前提です。片方だけが一方的に悪い、というケースは決して存在しないのです。

 

 

子どもに対してイライラする場合も、大人と子ども、両方に問題があるのかというと、そのとおりです。子どもの場合も、大人と同じです。お互いがお互いの世界観を持っていて、それまでの経験がバックグラウンドにあります。これは経験が長いから良いとか、バックグラウンドが豊かだから良い、という問題ではありません。そんな、いろいろな経験やバックグラウンド、価値観、世界観を持った人間が、同じ土俵で話し合わなければならないのが、コミュニケーションなのです。

 

 

相手が英語しか話せないのであれば、一方的に「日本語を話せよ」というのではなく、こちらも英語しか話せない人が理解できるように話す工夫が必要なのです。相手がrとlの発音が同じに聞こえてしまうのであれば、それを理解して「じゃあどうするか」という工夫が必要なのです。

 

 

子どもに対してイライラするのは当たり前、子どもとうまくコミュニケーションが取れないのは仕方のないこと、という前提でいれば、実際にコミュニケーションが取れなくてイライラする場面に差し掛かっても、いつもより余裕を持って状況を見ることができるのではないでしょうか。一歩引いた位置から、落ち着いて全体を見られるのではないでしょうか。イライラは、イライラしている自分を滑稽だと思えれば軽減することができます。物事を客観的に見られるかどうかです。その第一歩が、「自分は自己中だ」という認識です。コミュニケーションが取れないこと、イライラしてしまうことを一方的に相手のせいにすることなく、「間違っているのは自分かもしれない」と思えるかどうかです。「間違っているのは自分かもしれない」と考えることができれば、コミュニケーションに対する前提も違ってきて、コミュニケーションそのものが変わるでしょう。視野狭窄に陥ることなく、自分で工夫して、少しでも歩を進めようとする姿勢が出てくるはずです。

 


 

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