論理力があればいいのか〜国語の力
この本は、論理力について書かれた本です。国語の受験対策の本が有名な著者。国語とは論理を問う教科であり、論理は我々の人生に直結する。故に、国語を正しく学ぶことが、人生を生きる上で大切だというのです。
おそらく国語とは論理を問う教科であり、論理力を鍛えれば、国語力は上がるのでしょう。世間では多くの人が、国語とはセンスであろうと思っています。感覚の問題だと思っているから、多くの人が国語の成績が上がらなくて悩んでいる。国語は論理力、というのも正しいでしょう。
ですが、論理力が考える力かというと、そうではないのではないかと思います。世の中では考える力が求められています。何が正解かが混沌としていてわからない世の中ですから。自分で考えて自分で仮にしろ正解を出して行動していかなければなりません。確かに世の中では考える力が必要なのです。
けれど、論理力で考える力が養われるのかというと、そうではないと思うんですよ。論理力とは、筋道をたどる力と本書で書かれていますが、それって問題を提起した後に必要になる力だと思うんですよね。例えば、パズルを解く力とか。推理で犯人を捜す力とか。そんなものと同じだと思うんですよ。論理力は。
それの何が問題なのかというと、問題を提起していない、ということです。ゼロの状態から論理力は必要なのではなくて、すでに在る状態から必要になるのが、論理力だと思うのです。その前には、問題を提起できるような力が必要なはずです。
何もないところから問題を見極める、みたいな。誰もが目もくれないで素通りしてしまうような状況の中で、「これが問題!」と、考えるべき問題を提起できる、みたいな。一見、何もない空気の中で、手を握り締めたら、問題という名の具体的な何かが手の中に入っていた、みたいな。抽象的な中から具体的なものを取り出す力が、論理力とは別に必要だと思うんです。
それっていうのは、論理的に筋道をたどっていったのでは決してたどり着けないものだと思うんです。自分ごととして考えられるような力。おそらく、他人事として考えている間は、何も問題は見つからないと思うんです。自分ごととして考えられて初めて、問題は見えてくるものだと思うので。
自分の意見を持つ、というのも論理力ではどうしようもありません。自分の意見を持つには、「自分だったら」と、自分ごととして物事を置き換えることが必要になります。そこに在るのは積極性というか、論理力よりももっと能動的な力です。
指示待ち族対策も、論理力では解決しません。指示待ちを直すには、行動力でしょう。周りを気にせず、自分が思ったことを行動に移せる力。それは、決して論理力ではないはずです。論理力があっても、問題が見えていなければどうしようもありません。論理力があっても、行動に移せなければどうしようもありません。
少し残念だったのが、著者が本書で、子どもに毎日、日記を書かせ、その日記を添削することを親に勧めている点です。結局はこれも、指示待ち族を増やすことにしかならないのではないか。子どもの能動的な力を封じることになるのではないか、と思うのです。
結局は、国語という教科が論理力の強化だとしても、それと考える力を結びつけるのには無理がある、ということです。考える力に必要なのは、筋道をたどる力ではないと思うのです。筋道をたどる以前の力、「今なぜ、筋道をたどることをしなければならないのか」とか、筋道をたどることにスポットライトを当てられる能力、そんなものが必要だと思うのです。それはゼロからイチを生み出すような能力でしょう。論理力では、イチから進めることはできても、決してゼロからイチを生み出すことはできないのではないかと思うのです。
というわけで、「国語の力」という本を紹介しました。確かに論理力や国語力は、人生の中で大きなウェートを占めます。相手を理解するにも、自分を理解してもらうにも、理解には論理力が欠かせませんよね。センスや感覚でパッと理解してもらったり理解させる、ということもできませんし。
挿絵も可愛らしく、論理について楽しく学べる本でした。
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