子の無い人生 〜 非行や子育てについて考えるためのブックレビュー
子どもがいない人生とはどういうものか。子どもがいない人生を想像することこれから先、どんなことが待ち構えているか。伝統的に日本では、子どもがいないことについてどのような考えだったのか。
そんなことがわかるのが本書です。
非常に言いづらく、人との会話の中でもあまり触れたくない「子どもがいる・いない」に関する話が赤裸々につづられているので、自身の内側を見つめる著者の技量の高さや胆力の深さを感じます。
私を含め、子どもをもった人間がよく使うフレーズである「子どもを持って初めてわかることがある」にも触れております。オキシトシンというホルモンが分泌されるので、それで「子どもが可愛い」と思えるらしいのです。
「子どもを持ち子育てをする中で、懸命に考え、思考を深めて人間として成長しある種の高みに到達する」というわけではないようなので、このフレーズについて著者は「お腹が空いたから食べるのと変わらない」とばっさり切っております。
私自身「子どもを持っているから、子どもや育児の気持ちがわかる」というニュアンスを前面に出していますので、本書を読んでいると複雑な気持ちになります。「やめたほうがいいかな」という反省すべき部分もあり、著者に対する「それは違うぞ」と思う部分もありです。
ですが本全体として、ユーモアに溢れて書かれております。「子の無い人生」という重いテーマであり、誰しもが人と接する中で感じる「子どもがいるから〜」「子どもがいないと〜」という違和感を、軽く感じさせる内容です。
結局はある・なしに分かれてしまうのですが、お互いの立場を理解しあう意味でも「読んでおかなきゃなぁ」と思い読んだ本でした。
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