子育てにおいても、経験がある人の言葉には納得できる。非行に走るんじゃないかと、いらぬ心配だった。
経験を持っている人の言葉には不思議な力があり、スッと相手の喉をとおります。相手の気持ちを落ち着かせ、納得させ、信頼させます。
次男の出産のため、妻が産休に入りました。普段、長男は保育所に通っています。妻が家にいるので、長男は家にいてもはいいのです。しかし、私としては保育所に行ってほしい。
まず長男がいると、家事などできないことが多い。結局、長男の相手をして1日が終わるというパターンです。妊娠している妻にとっても長男の相手は負担でしょう。
次に、保育所の方が長男にとって「学び」になると思うからです。家にいてテレビを見ているよりも、保育所に行った方が社会性も経験するし、体も動かすし。
そして、保育所に行かない癖がつくのが嫌だと思っていました。1日でも休むと、「保育所ってやすめるんだ」と考え、保育所に行かなくなるんじゃないかと思うのです。
そのため、私はこの間、嫌がる長男を保育所まで連れて行きました。長男は、母親と一緒に家にいたがったのですが、保育所に行った方がいいと考え、半ば無理やりでした。
そんな私に保育所の先生が言ったのは、「無理やり連れてこなくてもいいですよ。1日休んだら、また来たくなりますよ。」でした。私はこの言葉がスッと喉をとって体にしみました。「あ、なるほど。1日休めばまた来たくなるか、そうかも。」という感じです。何も、先生が言った言葉に理由や根拠があって、論理的に説明されたわけではありません。しかし、「なるほど、納得できる」と思いました。
普段、子供たちと膨大な時間を共に過ごしてる先生だからこその言葉だと思いました。おそらく、今まで登所を嫌がる子どもや、無理やり連れて来させようとしている私のような親を多く見てこられているのでしょう。
本屋では、「論理的な」シリーズが所狭しと本棚に並んでいます。みんな相手を納得させるには、論理的な説明が必要だと思っているのかもしれません。ですが、論理的な説明は筋が通っているけど、相手の喉をスッと通るかというと、必ずしもそうではありません。論理的な説明をわずらわしいと思うときもあるし、納得できないときもある。感情的に論理的な説明が受け入れられないかもしれない。相手の喉をスッと通ることを言うには、経験に裏打ちされた本音なのです。
もちろん、長男が本当に一回保育所を休んだ後、次の日から登所するかどうかはわかりません。もしかしたら、2日や3日と休みが続くかもしれない。しかし、先生の言葉を聞いたわたしには、それでも先生に対して「先生の言っている事が違うじゃないですか。」などとは思いません。それで私の気持ちが落ち着いたからです。
喉をスッと通るように、相手を納得させるには、経験からくる本音ですね。
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