「言葉にできる」は武器になる 〜 子どもの非行を防ぐためのブックレビュー
著者がどうやって言葉を生み出しているかを明らかにしている本です。
「言葉が意見を伝えるための道具ならば、まず、意見を育てる必要があるのではないか?」という「はじめに」に書かれていた言葉に感銘を受けて購入を決めました。
言葉は自分の内面にある思いや考えをアウトプットするためのものです。思いや考えがなければ言葉も出ません。水道がとおっていないのに必死に蛇口をまわしても水が出ないのと同じように、まずは思いや考えを言葉にできるくらいに育てないと、言葉は口から出てこないのです。
人に何かを伝えようとして言葉が出てこない時があります。自分は考えたつもりになっていても、相手から突然、唐突に質問されると、しどろもどろになってしまう状態です。
「考えていた質問だったのに」「このくらい、答えられると思っていたのに」「自分の根幹に関わる質問なのに」と悔しくもあるのですが、そういうときは何のことはない、言葉にできるだけ十分に考えられていなかったということなのです。
ですので、相手に何かをうまく伝えようとしたら、考えを深めなくてはなりません。相手に伝わるだけの言葉を発しようとしたら、自分の内側と向き合うのです。自分の内なる言葉と向き合い、「自分はどう思うのか」を意識するのです。言葉にできるだけの考えは、自分の内なる言葉から出てきます。
「なぜそう思うのか」「本当にそう思うのか」「だからどうなのか」を考えると、自分の考えを深くすることができます。
人が動くだけの言葉は、深い考えから出てきます。人を動かすことはできません。本心から発せられる重い言葉が相手に届いた場合、人は勝手に動きます。動きたくなる空気を感じるのです。
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