為末大さんのインタビュー記事を読んで考えた。構造を知ることは多様化を受け入れることだ

2020.10.04 (日)

「構造を知ることって大事だと思います。構造を知るというと難しく聞こえるかもしれないけれど、僕は、『同じことを違う人が見ると、どう見えるか』学ぶことだと思います」

 

 

これは毎日小学生新聞に記載されていたインタビュー記事。元ハードル走者の為末大さんの言葉だ。

 

 

為末さんはどうやら、「構造を知ること」と「多様化を受け入れること」は1つのことだと考えているようだ。僕もこれまで「構造を知ること」も「多様化を受け入れること」も、ともに大事だとは思っていたけれど、これらが直で一つのことだとは思っていなかった。この記事を読んで、為末さんの言葉を読んで合点がいった。なるほど、構造を知ることと多様化を認めることは、1つなのだ。

 

 

これは、ともに「一歩引いて見る」という言葉でつながるのではないかと思っている。構造を知ることも一歩引いて見ることだし、多様化を認めることも一歩引いて見ることだ。A=B、A=C、ゆえにB=Cなのだ。

 

 

構造を見ること

構造を知るとは、一歩引いて対象を見ることだ。これは遠くから木を見ることを想像すればわかりやすいのではないか。木はいくら近くで見ても幹しか見えなかったり、茶色い色しか目に入ってこないけれど、遠くから距離を置いて見て初めて、他の木や植えられている公園の中で立ち位置という構造が見えてくる。

 

 

今僕は公園でキーボードを打っていて、僕の目の前には木があるのだけれど、いくら「木が好きだ」とか「この木のことをもっと知りたい」からといって、顔がピタッとつくくらい目を近づけて木を見ては、木のごく一部分しか見えない。

 

 

目の高さには茶色い幹があるからといって、そこに目を近づけて見ると、茶色い幹だけで視界は覆われてしまう。これではこの木の構造を知ることはできない。この木の構造を知るには、一歩引いて見ることが必要だ。

 

 

この木にはどのくらい大きな枝が広がっていて、どのように枝が分かれていて、枝の先にはどんな葉っぱがついていて、木が植えられている公園はこの木があることでどんな景観をしていて、他にもどんな人がこの木を見ようとしていて……。

 

 

幾層にも連なった他者、他人、他物との関係性が構造になる。そんな構造を知るには、一歩引いて、距離を置いて対象を見るしかない。木を一歩引いて見るしかない。少し離れたところにあるベンチに座って木を見て初めて構造が見える。

 

 

僕以外にも木を見て人がいて、それは昼休み中のビジネスマンだったり、幼児を連れているお母さんだったり。幹の先には緑色の葉っぱが生い茂っていて、その向こうには水色の空があって、絶妙なコントラストをしていたり。この木が植えられているのは公園内の通路に沿った場所で、この木が植えられていることによって、通路を歩く時は日よけになったり。

 

 

一歩離れて見ることで、他との二重三重の関係性が見える。それが構造を見ることだ。

 

 

多様化を受け入れること

多様化を受け入れることも、一歩引いて見ることだ。多様化を受け入れるとは、主に人間関係の中で使われる。「同じものを見ていても他の人には他の味方がある」「他の人には自分とは違う姿が見えている」というのを認めるのが多様化だ。

 

 

頭が固く、「コレはこうだ」と決めてかかっていると多様化を受け入れられない。「コレはこうするべきだ」「コレにはコレなんだ」と、自分の見方や自分のやり方が唯一の方法だと思っていると、それは多様化とは正反対のモノの見方だろう。

 

 

多様化を受け入れるとは、臆病になることに似ている。自分に自身がなく、自分の正解が唯一の方法、あるいは一番いい方法だと思っているような自信家には、他の方法ややり方を自分と同じくらい有用だと認めることはできないだろう。「自分が考えている方法と同じくらい良い方法が他にもある」と考えられるような臆病な性格が、多様化を受け入れるには必要なのだ。

 

 

それはこだわりを捨てることでもある。こだわっていては多様化は受け入れられない。スポーツの中で野球が一番だと思っていては、たとえサッカー好きの視点でスポーツを見ようとしても、すべての面において野球のほうが勝っているように見えてしまう。

 

 

車好きが、他の趣味と車を見比べても、結局は車が一番だと思ってしまう。「確かに車好きにはお金がかかるなどのデメリットがあるけれど、それでもそんなデメリットを相殺できるほど車は格好いい」と、車好きは思うだろう。

 

 

こだわりがあると、他の価値観や他の考え、他の視点を想像しにくくなり、自分の一様の価値観しか見られなくなる。こだわらずに一歩引いて、自分がこだわっていたものと他のものを同じように、同じレベルで比較できて初めて、多様化を受け入れることができる。

 

 

つまり

構造を知ることは、一歩引いて見ることだ。一歩引いて全体を視界に収めれば、目の前にある木の他との関係性を見られるようになる。多様化を受け入れることも、一歩引いて見ることだ。こだわりを捨てて、他との関係をフラットに見て初めて、他の価値観の視点を持つことができる。構造を知ることは、多様化を受け入れることなのだ。

 

 

僕の仕事は「優しさ」について発信することなのだけれど、多様化が優しさだとは思えても、構造を知ることも優しさだと思っていた人はいないのではないか。構造を知ることも、多様化を受け入れることも、ともに一歩引いて見ることだ。

 

 

全体を見る、他との関係性を知る、ような構造を知ることも、優しさになるのだ。

 

 


 

 

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