子どもの非行を防ぐには、子どもから距離を置いた方がいい理由
子どもの非行を防ぐには、距離を置くことが大切である。距離を置くことこそが優しさなのである。子どもの非行は、イライラから生まれる。世の中にある犯罪、ケンカ、トラブル、そんな負の出来事は、負の感情から発生するのである。イライラしていたり、感情的だったり、怒りっぽかったり。そんな負の感情の鍋から、非行は出てくるのだ。まずはイライラしないことだ。
イライラしないとは、おおらかであることだ。小さいことにこだわらない。嫌なことがあっても、「ガハハ」と笑っていられるような大きさを持っていること。いちいち人に振り回されたりしないで、落ち着いて自分を保っていられること。そんなおおらかさが、子どもの非行を防ぐには必要なのだ。このおおらかさが、あらゆるコミュニティにあればいい。世界や、自治体や、学校や、家庭に、である。
このおおらかさは、周りと距離を置くことだと私は思っている、一見、おおらかさとは、人に対しての優しさであり、それというのは相手との距離を縮めることのように思われるが、そうではない。相手との距離を置いて、冷めた関係を築くような行為が、おおらかさなのだ。
考えてもみてほしい。改めておおらかさとは何か。それは、周りに振り回されずに自分を保ち、物事を客観的に判断できることではないだろうか。それは、物事を遠くから眺めることに似ている。たとえば、野球を見るときのことを考えてみよう。野球に興味がない人は、自分が好きなスポーツで構わない。スポーツに興味がない人は、音楽のライブでも、美術鑑賞でもいい。球場に行って、野球を生で見ようとして、一番最前列の席をゲットしたとする。ピッチャーが投げ、バッターが打って、野手が守って、という一連の動きを、とても大きく感じられるだろう。目の前でプロの選手がプレーしているのである。選手の動きもリアルで躍動感があり、試合展開にも感情移入できるだろう。
応援してるチームが打てば湧き、塁を進めれば湧き、点をとれば大きく湧き。守りの場面でも、相手バッターを討ち取ったり、野手がいいプレーをすれば、気持ちが高まるだろう。だがこれではまるで、目の前のことにいちいち一喜一憂しているようではないか。
それに対して球場の外側から試合を見ているときはどうであろう。最前列で観戦しているときよりも、選手のリアルさや躍動感は感じづらいものになるだろう。音や、匂いや、土や汚れなどの視覚的な情報も薄れ、感情移入はしにくくなるだろう。だが、客観的に選手や試合を見られるようになるはずだ。ピッチャーが投げる球の一球一球に一喜一憂したりせず、もっと大局観をもって展開を見られるようになるはずだ。もっと長い時間軸で見られるようになるはずだ。一球一球にこだわっていたものが、一回一回に長くなっているはずだ。
この感覚は、距離を置けば置くほど顕著にある。球場でなく、ネット動画やテレビで野球の試合を見れば、落ち着いて、長い時間軸で野球を見られることだろう。この、落ち着いて長い時間軸で野球を観戦する姿勢は、おおらかさと同じでは無いだろうか。細かいプレーや展開に一喜一憂せず、落ち着いて試合そのものを見られること。つまりはそういうことなのだ。
近くで見ようとすると、どうしても細かい部分が気になってくる。具体的にで現実的に物事を見られるので、部分が気になるのである。しかも、部分が部分であることに気づいていないことが多い。部分を全体だと思うから、部分という細かい所に感情移入してしまうのだ。それに対して、距離を置くことは、全体を見ることである。部分は、全体の中の一部でしかないと認識できるのだ。だから、細部に振り回されたりせずに、落ち着いて全体を把握することができる。
おおらかとは、実は距離を置くことなのだ。距離を置くことに対して消極的な人が多いのではないか。相手に近づくことことが徳であり、優しさであり、人間として必要なことであり、相手のためにもなることだと思っているのではないだろうか。距離が近いと、細かい所に振り回されるため、イライラしやすいのだ。「そんなのどうでもいいよ」と思えないのだ。相手を束縛してしまう。自分とは違う考え、動き、価値観、選択を見せられただけで、イライラしたり怒ったりしてしまう。距離を置いて見れば、どっちも同じであるにも関わらず、である。
自分以外を束縛しようとしても、できるものではない。特に自分が大事に思っている相手に対して束縛するするなど、本末転倒であろう。自分が大事にしたいと思っている子どもである。イライラをぶつけたくないし、大人に縛られないで欲しいと思うに違いない。伸び伸びと成長してほしいと願っているはずであろう。だったら、距離をおくべきである。感情的にならず、細かい細部に振り回されず、落ち着いて自分を保っていられること。距離を置いて遠くから子どもを眺める視点。おおらかさとは、距離を置くことなのである。
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