ラ・ラ・ランドは「ああなったら良かったな」という後悔・夢想がピークだった

2020.06.01 (月)

 

ラ・ラ・ランドを一回観て依頼、何回も観ている。もともとそんなに映画を観る方ではなかったので、改めて映画というエンターテインメントの威力を感じているのかもしれない。読書から映画へのシフト、比重の変化が起きそうだ。今でも時間無く本を読んでいるのに、この上さらに映画を観始めたら、時間はいくらあっても足りない。ドラえもんのタイムマシンがあったら、何回でも時間を逆戻りして時間を取り戻したいところである。

 

 

ラ・ラ・ランドの面白かった点を上げると、まず音楽である。覚えやすくて耳に残りやすかった。キースのメッセンジャーズの曲もすごくよかった。

 

 

それからドリーマーの悩みを見事にぶち抜いてくれた点である。世の中にいる夢追い人。愚かで、馬鹿な夢を必死で追いかけている人たちの悩みをピンポイントで表現してくれた。夢と家庭は両立し得ないのか。どちらかを追いかけるということは、どちらかを捨てるということなのか。

 

 

ドリーマーの悩みといえば、客の評価か自分の信念か、という悩みもある。自分のやりたいことと、世間から評価されることは微妙に違う。いくらやりたいこととは言え、純粋に自分にしかわからないことをやっていては、お金を稼げないし生活できない。自分の夢にどこまで相手目線を取り入れるか、悩みどころである。

 

 

それから、客の評価に打ちのめされて実家に帰ってしまうところもよかった。夢追い人の夢とは大抵、誰かの評価が無くてはならないものだ。クリエイターなんかがそうだと思うが、自分の作品に対する感想や評価をもらわなければならない。落ち込んでしまうので評価を見たくないし聞きたくもないのだが、仕事上そうもいっていられない。どうしても客の評価を聞かなければならないことが、ドリーマーというかクリエイターのつらいところである。

 

 

そしてなんと言っても、ラ・ラ・ランドの一番良かったのは「こうなったら良かったのに」という人生への後悔を表現したところだと思う。言うまでもなく、最後の現実逃避のシーンである。現実とは異なる人生をセバスチャンがピアノを引きながら想像したところである。

 

 

人生を後悔したことがある人はもちろんいるだろう。普段、そんな後悔は、池の奥深く沈殿する泥のように表面には現れないはずだ。けれど最後の妄想のシーンで、深くにも共感してしまった。感動してしまった。このシーンで共感する自分に気づいてしまった。このシーンを通して、脳内に眠っていて普段意識されることが無かった人生への後悔が、表面に浮き出てきたのである。沈殿していた泥が、石ころを池に投げ入れた拍子に浮き上がってきたように。

 

 

本屋に行けば最近、「老後はこんなに楽しい」のようなタイトルの本が目立つ。「実は老後って楽しいんですよ」ということを、どの本もうたっている。けれどそんなタイトルの本は、同時に虚しくもなる。誰が見ても「若さ」は「老い」に敵わないからである。

 

 

確かに厳密に、一つ一つをつぶさに観察していけば、若さよりも老いの方が優れている部分が見つかるのかもしれない。人生を俯瞰して見られるとか、落ち着いて人間関係を作れるとか、それまでの経験の蓄積があるとか、それらはいずれも若さより老いの方が優れている点である。

 

 

けれど、じゃあ若さよりも老いをとるのか、若さと老いと選べるとしたどちらを選ぶのか、と聞かれれば、誰もが若さを選ぶだろう。若さにある華やかさには、老いは到底敵わない。若いからこその感受性、思い切りの良さ、活発さ、素直さは、何にも代えがたいものなのだ。

 

 

それなのに人生は若さから老いへと一方通行である。逆はない。エントロピー増大の法則と同じで、部屋がきれいな状態から乱雑な状態へ散らかるように、会社が大きくいなるに従ってルールや決まり事が増えていくように、若さと老いも一方通行なのである。逆はない。

 

 

だから、人生に「ああしておけば良かった」という後悔はつきものなのかもしれない。魅力あふれる若さが初めにあって、その後で魅力を見つけにくい老いが来る。老いの後で若さがやってくる人生などない。乗せておいて、後から落とす。人生に後悔はつきものだ。

 

 

普段僕たちは後悔などしながら生きてはいない。意識していない。というか、無理に隠しているのだ。見ないようにしているのだ。「老いにこそ人生の楽しさがある」ような麻酔薬を体に打って、老いていく人生を無理に楽しんでいるのだ。

 

 

普段、老いを意識するトビラを閉めているから、ラ・ラ・ランドの最後の「ああしておけば良かった」のようなシーンで、無理に閉めていたトビラが開けられるのだ。無意識で抑えていた涙も流れる。

 

 

そして、悲しい気分にしておいてからの、セバスチャンの「これでいいだ」という後悔を受け入れるようなコクンである。後悔を感じさせておいて、でもそれでもこんな人生を肯定する、という意思表明のようだ。

 

 

「時々ついていけない」という僕の映画に対するマイナスイメージを払拭させてくれたラ・ラ・ランド。記憶に残る映画だった。

 

 

 


 

 

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