どうして親は子どもに怒ってはいけないのか

2020.06.19 (金)

どうすれば怒らずに子どもを育てられるのか。

 

 

子育てをする場合、どうしても子どもに干渉したくなる。それに対して子どもは親の干渉に反発する。「口出しするな、オレの勝手じゃないか」と。でも親としては、人生をあらかじめ経験している分、自分の経験を子どもの人生に反映させてやりたくなる。その方が、子どもの人生も良いものになると思える。

 

 

その際に、怒ってしまう自分が気になる。子どもから反発されたり、子どもが自分(親)の思い通りに動いてくれないとイライラしてしまう。子育てにイライラや怒りは無いほうがいいとは思うが、どうすればこの怒りやイライラを排除できるのだろうか。どうすればイライラせずに子育てを完遂できるのだろうか。

 

 

古代ローマの哲学者セネカは、著書「怒りについて」の中で、「感情は理性で制御するものだ」と言っている。怒りなどの感情は、物事を筋道立てて考えることによって、コントロールできるものなのだ。怒りの勝手にさせず、うまく抑えることが可能なのだ。

 

 

子どもに対して怒りが湧いてきたりイライラしたりするのは、自分と子どもの考えが違っているときである。これは子育てに限らず仕事でも他の人間関係でもそうだが、自分と相手との価値観が違う時に、相手を自分の思い通りにしたくて、安易な「怒る」という手段をとってしまう。相手の意見と自分の意見が違っていて、なおかつ自分の意見の方が優れていると感じる時に、人は相手の意見を潰し、自分の意見を押し通したくなるのだ。

 

 

どおすれば安易に怒りが湧いてくるのを抑えることができるのか。ここでセネカの言うとおり、物事を筋道立てて考えてみる。相手と自分の意見が違っているという状況について、もう一度考えてみる。

 

 

「自由市場」という概念がある。ウィキペディアによるとこれは、「取引が政府や権力による強制で行われるのではなく、望むものが自発的に取引を行う市場を意味する」ことで、「自由市場の思想の根本には、個々の人間の利益追求を目的とする自由な行動は金銭的かつ社会福祉的利益の点からして最大の結果を産むという考え」らしい。

 

 

政府が市場に介入して、「〇〇をどのくらい作って市場に投入しよう」とか「〇〇の売値はいくらにしよう」などと上から決めるのではなく、個人や法人の自由に競争させるのである。そうすれば自然と、優れた商品が市場に出回り、優れた商品を売る個人や法人が潤い、劣った商品やそれを売る個人法人は市場から淘汰される。

 

 

この自由市場という考えは何も経済だけに言えるものではなく、実は思想にも言えるものだ。価値観や考えにも、自由市場の考えを応用することができる。

 

 

このことを言っているのはJ・S・ミルという19世紀イギリスの哲学者・経済学者で、著書「自由論」の中で説かれている。自分の考えが優れていると思ったからといって、相手の考えを否定したり、相手の考えを潰して自分と同じにしようとすることはしない方がいい。それは、「個人の自由」として大事であるばかりでなく、社会を進歩させるうえで大事なことでもある。

 

 

自分とは違う意見に対して不寛容にならず、多くの違う意見が乱立している状態が理想なのだ。多様性を否定して画一化を促してしまえば、競争が起きず、進歩は止まってしまう。それは経済のみならず、思想にも言えることだ。

 

 

1 もしかしたら、相手の意見の方が正しい意見なのかもしれない。

2 相手意見が間違っているとしても、一部正しさを含んでいるかもしれず、そうした部分的正しさは、対立する意見のぶつかり合いを通してのみ明らかになる。

3 自分の意見の方が正しいとしても、活発な論争がなければ合理的根拠を知らないままになる。

4 自由な議論がなければ、人は自分の意見がわからなくなり、自分の意見への確信を得るのを妨げられる。

 

 

これが、ミルが著書「自由論」の中で述べている、「自分とは違う意見にも寛容的である方がいい」理由である。思想、価値観、思い、意見、考え。これらは、多様性があってしかるべきで、自分とは違う意見があるからこそ、社会は進歩する。自分とは違う意見や考えがあっても、むやみに潰すべきではないのだ。

 

 

どうすれば怒らずに子どもを育てられるのか。セネカの「感情は理性でコントロールする」に従って、怒りという感情について筋道を立てて考えてみた。怒りやイライラは、自分とは違う意見や価値観が目の前にあった時に、それを潰して自分と同じ価値観に染めようとするときに出てくるものだ。

 

 

そこで、ここでミルの「自由論」から「思想の自由市場」という概念を持ってくる。経済が計画経済でなく、自由経済で発展するように、思想も自由である方が社会が発展するのだ。社会の発展は、僕たち個人個人の幸福につながる。意見の多様性があるから‥というか、むしろ多様性があったほうが、僕たちは思想的にも幸せになれるのだ。それは幸福な人生を歩める、ということでもある。

 

 

子どもに対してイライラした時、怒りたくなった時。それは、理性を持ってくるチャンスである。筋道を立てた物事の見方を実践するチャンスである。

1 相手の意見の方が正しいのかも

2 相手の意見にも、一部共感できる部分があるかも

3 自分の意見の根拠をわかるには、意見の対立相手が必要

4 自分の意見を持つのにも、意見の対立相手が必要

 

これらを思い出して、子どもに対する怒りやイライラを抑制してほしい。よくよく考えれば、子どもに対しても怒ることが何のメリットももたらさないことがわかるはずだ。

 

 

 


 

 

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