犯罪を防ぐための逆転の発想。モーリシャスの座礁事故を見て船員の特殊な状況を察してやる思考が必要だ

2020.08.22 (土)

どうすれば犯罪を抑えることができるのか。それにはまずどういう時に犯罪を犯してしまうかを考えてみるのが良いと思う。どういう時に犯罪を犯してしまうのか。それは、自分あるいは自分の状況を特殊だと考えたときである。

 

 

たとえば交通違反なんかはわかりやすいのではないか。車を運転していて、運転中のスマホ使用や速度違反など、警察官に捕まらないにしても軽度な交通違反をしたことがある人は多いと思う。

 

 

どんな時に交通違反をしてしまうのだろうか。それは、「自分の場合はしょうがない」と思ったときだろう。車を運転する人は誰でも、道路交通法があることはわかっている。日本は法治国家であるし、憲法や法律が社会を動かしていることはわかっている。

 

 

車の運転や道路状況などは、道路交通法によって統制されたり制限されたりしている。そんな中で道路交通法違反は悪いことだということなんて、誰もがわかっている。赤信号で交差点を突っ切ったり、駐車してはいけない場所に駐車したり、そんなことをすれば警察官に切符を切られることなんてわかっている。

 

 

ニュースでは毎日毎日、交通事故のニュースを流している。「道路横断中に80歳の女性が‥」とか「登校中の児童に車が‥」なんて悲しいニュースがいつも配信されている。交通事故なんて誰も起こしたくないし、見ることすらしたくない。交通違反が交通事故に繋がりやすいし、交通事故を減らすには交通違反をしなければいいと誰もがわかっている。

 

 

けれど、そのうえで交通違反をする人はするのである。交通違反をすれば警察官に切符を切られることをわかっているし、交通事故に繋がりやすいことをわかったうえで、ドライバーの多くは交通違反をしてしまうのである。

 

 

それは、「自分あるいは自分の状況は特殊だ」と考えるからだ。

 

 

誰もが自分あるいは自分の状況が特別だと考えがちだ。運転中にスマートフォンを操作する人は、「本当はダメなんだけど、すぐにLINEで伝えたいことがあるからちょっとくらいしょうがないよね」と考えてスマートフォンを操作する。

 

 

駐車違反をする人も同じ。「本当はここに駐車すれば違反になるんだけど、近くに駐車場もないし、遠くまで駐車しに行くのも面倒だし、なにより駐車場の使用にはお金がかかるから、ここに駐車してもしょうがないよね」と考えて交通違反をするのだ。

 

 

誰もが道路交通法を知っている上で、自分という例外をつくってしまう。その根底にあるのは、「自分はしょうがない」とか「自分の場合はいいよね」という、自分あるいは自分の状況をその他一般には当てはまらない特殊なものだと考える思考回路である。

 

 

自分を特殊だと考えることが、違反を生むのである。

 

 

道路交通法だけではない。他の犯罪も、「このくらいいいよね」「ちょっとくらいしょうがないよね」という思考回路から発生している。法律によって「それは犯罪だ」と言われていることがわかったうえで、「悪いことだ」とわかった上で、人は犯罪を犯すのである。

 

 

万引だって、「今は誰も見ていない。最近は金欠状態だし、少しくらい盗んでいもいいよね」と思って商品をカバンに入れる。オレオレ詐欺だって、「自分にはお金が必要だし、簡単にお金を稼げるのなら、だまし取っても自分の場合はしょうがない」と考えて、年配者を騙す。

 

 

いずれも自分あるいは自分の状況を特殊だと考える思考回路である。

 

 

その割に人は、自分以外の他人に対しては一般化して考えがちである。

 

 

どれだけそのドライバーが切羽詰まって、のっぴきならない事情があって交通違反をしようとも、相手の状況を理解しようとしない。「馬鹿なことやる人はどこにでもいるんだよね」とか「お前らみたいな奴らがいるからダメなんだ」と、ドライバーが置かれた特殊な事情を察することなく、その他大勢としてひとくくりにして考える。

 

 

インド洋モーリシャスで船舶が座礁し重油が広がっている事故で、「ワイファイを求めて島に接近か」という記事が出ていた。この記事を見て、多くの人が「バカなことをしているなあ」と思ったのではないだろうか。海で暮らす船員の特殊な状況を理解しようとせず。

 

 

犯罪のウラには、自分あるいは自分の状況を特殊だと考え、逆に自分以外の他人については一般化して考えるという人間の習性があるのだ。

 

 

ではどうすれば良いのか。どうすれば犯罪を防げるのかというと、見方を変えてみることだ。自分のことを一般化して考え、他人のことを特殊だと考える。

 

 

運転中に「どうしてもLINEを操作しなくてはならない特殊な事情」がでてきたときに、「LINEを操作したくなるのは誰もが思うことだ。皆んながそんな状況で持ってスマホ操作を我慢しているんだ」と考える。

 

 

万引きの衝動がでた時に、「自分だけじゃない。皆んなが同じような状況でも万引をしないようにして生活しているんだ」と考える。オレオレ詐欺の誘惑が話が来て誘惑に負けそうな時、「お金に困っているのは自分だけじゃない。誰もが苦労して生活しているんだ」と自分を一般化することで、犯罪を防ぐことができる。

 

 

他人に対しては特殊だと考えることで、思いやりが社会に広がるのではないか。相手の事情を察してやることだ。社会の中で逸脱行為をしている人を見た時、あるいはなにか失敗している人を見た時に、「バカなことをやっているな」と突き放して考えるのではなく、「何かしら特別な事情があったのかもしれない」と、特別な存在と認識して聞いてやるのだ。

 

 

モーリシャスの事故でも、「ワイファイなんてバカなことを‥」と思わないで、「ワイファイを使いたくなる特別時な事情があったのではないか」「自分たちとは違って、ずっと海の上にいたらワイファイも使いたくなるのではないか」と事情を察してやることだ。

 

 

自分を一般化して考え、他人を特殊だと考える。そうすることで、自分の犯罪は防げるし、思いやりが広がって社会(他人)の犯罪も防ぐことができる。犯罪を防ぐには、思考回路の逆転が必要なのである。

 

 


 

 

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