運動持続の鍵はゲームの二人同時プレイにある〜運動を続ける技術
「また日常生活の中で、運動に置き換えることもできます。
①歩くスピードを速くする
②駅のエスカレーターは使わずに、階段を使用する
③電車の中は常に立っておく
④商業施設や会社の階段を使用する⑤最寄り駅より手前に降りて、歩く距離を稼ぐ」
櫻井 誠一郎. 運動を続ける技術 筋トレ・ランニング・スポーツを簡単にもう一度始められる (Japanese Edition) (Kindle の位置No.639-640). Kindle 版.
この本は、「いかに運動嫌いな人を運動するまでに持っていくか」という本である。
運動嫌いの人は大抵、運動そのものまでをも嫌いだとは思っていない。いかに運動嫌いな人でも、運動することは良いことだと思っていることがほとんどだ。親切と同じで、わかっていてもできない。「すること」と「しないこと」と、両方を天秤にかけて「どっちが良いか」と問うてみれば、おそらく9割以上の人が「すること」を選ぶ。
たとえば運動不足になると体に脂肪がついて肥満体型になると思うけれど、肥満体型が健康に良いとは誰も思わない。肥満を回避した健康体になり「長く生きたい」と思うのは、運動嫌いな人も運動好きな人も、誰もが持っている基本的欲求だ。
運動はフィジカルだけでなく、知的生産にも有利のようだ。頭の回転が早い人は運動をしている割合が高く、運動をすることで前頭葉と側頭葉が刺激されて、脳が活性化されるらしい。ITメデイアの記事で見た。頭を使う仕事だからといってそればかりしていると、不思議なことに「時間をかけどもはかどらず」状態になってしまうのは、運動嫌いな人も運動好きな人も誰もが経験があることだろう。頭を使う仕事を効率的に進めるには、体を動かしてリフレッシュすることが効果的なのだ。
それより何より運動は、運動することそのものが楽しい。汗をかいている間は、幸福感に浸ることができる。「人間は体から出しているときが一番楽しい」なんて誰かが言っていたけれど、疲れて汗を思いっきりかいているときは、万人が多幸感に包まれる瞬間だ。
運動は誰にとっても幸せなことであり良いことであり、やりたいことなのだ。
それにも関わらず、運動を実際にやれる人や続けられる人はごく僅かしかいない。「やりたいけどできない」のが運動。「いかに続けられるか」「いかに続けられる環境をつくるか」が、運動をすることの鍵になる。
運動を続けるための方法は色々言われていて、本書の中でも
①帰宅直後、5分から10分だけ軽い筋トレをする
②テレビのCMの間だけ、筋トレをする
③帰宅直後すぐにランニングをして、そのときの気分で5分、10分、20分と時間を変えて走る
④お風呂に入る直前に筋トレを5分、10分だけ行なう、もしくはお風呂上りに筋トレをする
櫻井 誠一郎. 運動を続ける技術 筋トレ・ランニング・スポーツを簡単にもう一度始められる (Japanese Edition) (Kindle の位置No.632-635). Kindle 版.
などが提示されている。
けれど僕が思う一番運動を効果的に続ける方法は、運動を日常生活の中に取り入れることだ。日常生活を送りながらいかに運動をするか。あるいは日常生活を送りながらいかに運動したときと同じ効果を得るか。これに尽きると思う。
というのも、日常生活を続けられない人はいないからだ。
僕らは、皆んなズボラだ。ズボラにしか生きられない。基本的に楽をして実を取りたい。やりたくて始めたものは仕事でも趣味でもすぐに飽きが来る。バンドに憧れてギターを買ったはいいけれど、一曲弾けるようになるよりも早く手放すことになる。「いい動画を作りたい」と買った高性能のパソコンさえ、そのスペックを発揮する前に動画作りが億劫になる。始めたものはなんでもすぐにやめてしまうズボラさが、人だ。
けれど日常生活をやめた人はいない。どんなにズボラな人でも最低限、日常生活だけは送っている。いかに日常生活に置き換えるかが、運動持続のポイントになる。
この「日常生活への置き換え」は、意外と運動以外の分野では使えるものが少ない。例えば僕は本を読むのが趣味なのだけれど、本を読むのは日常生活に置き換えることができない。最近ではスマホで本を読めるようになって読書へのハードルが下がって、読書がより身近にはなったけれど、それでも「置き換え」ができるかと言うとそんなことはない。結局は、何かを犠牲にしなければ読書はできないのだ。
ユーチューブと読書、両方同時にはできないので、ユーチューブを見ようと思ったら、読書はやめなければならない。車の運転中に本を読むことはできないので、本を読もうと思ったら車の運転はやめなければならない。読書のように大抵の趣味は、日常の中では「どっちをとるか問題」であり、一択によってしか進めることができない。選ぶ方があると同時に捨てる方が出てくる。
けれど日常生活に置き換えることができると、これが一変する。両方同時に進めることが可能になる。ゲームの二人同時プレイのようなもので、同時進行でゲーム攻略という目標に向かって進むことがができるようになる。時間の効率性は、一択しかできないときの比較ではない。
職場に向かう電車の中で常に立っておけば、通勤と同時にふくらはぎの腓腹筋を鍛えることができる。駅や商業施設のエスカレーターを使わずに階段を使えば、階段を登ると同時に大腿筋を鍛えることができる。この時に荷物を手に持っていれば、さらに上腕筋や大胸筋をも同時進行で鍛えることができる。
「どっちをとるか問題」ではどちらかを選んでどちらかを捨てなければならないけれど、同時進行が可能なのであれば必ずそこを選ぶ。我々は効率性を好むので、一緒にできることは一緒にしたい。せっかく日常生活との二人同時プレイが可能なのだ。せっかく「同時プレイ可能」のボタンが点いているのだ。これを使わない手はない。ゲームの攻略性は更に上がる。
日常生活をやめた人はいない。最低限誰でも送っているものなので、続けるのが難しい運動は、「いかに日常生活に置き換えるか」が成功の鍵になる。置き換えの二人同時プレイで、効率よく進めよう。
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