「男であることの証明」による、男の子の非行
「隣の地域の少年グループに集団で暴行し重軽傷を負わせたとして、警視庁は傷害と暴行容疑で、東京都足立区などに住む16~17歳の少年10人を逮捕した。少年らは「綾瀬面子(めんつ)」と名乗るグループを構成していた。全員容疑を認め、リーダー格のアルバイトの少年(17)は「チーム力を高めるためだった」と話している。」
このような事件は、昔からあります。なにも今に始まっためずらしい事件ではありません。インターネットが普及した今だから問題になるのであって、もしかしたら、昔の方がこのような事件は多かったのかもしれません。
このインターネットの記事に対する世間のコメントは、逮捕された少年らを「かっこ悪い」と評するのがほとんどでした。
確かに、逮捕された少年らは罪を問われるべきであり、他の人間に怪我を負わせた事は、許される事ではありません。動機も極めて幼いように感じます。
ですがこの事件の背景にあるのは、「強さ」「ワル」「プライド」「面子」といった男性観であり、この男性観は単に「格好悪い」で済むものではありません。
男だったら、誰もがにこのような男性観に憧れていた時代があったはずです。血気盛んな子どもたちが起こす事件を冷めた目で見ている社会人も、10代の頃、いい格好をしようとして、わざと悪いことをしようとしていた時代があったはずです。格闘技や格闘ゲーム、スポーツ選手に憧れるのも、男性観に憧れるから故です。事件を起こした少年らの気持ちを、「男なら」わからないはずは無いのです。
少年犯罪の動機には、この男性観が絡んでいることが多々あり、それは「男であることの証明」の様に思えます。
活発な男の子は、自分の「男としての証明」を周囲に見せるため、特に仲間といると、暴力的になります。「目があった」と言って文句を言ったり、「態度が生意気だ」と因縁をつけたり。特に精神的に未熟な子どもは、数人でいるときに攻撃的になります。
内向的な男の子も、「男としての証明」を取り戻そうと、非行を行います。彼らにとって、お店から商品を盗むことができる強さを持つことが、自分がナヨナヨしていない、一人前の男であることの証になるのです。お店から商品を盗めば、男としての証明を取り戻すことができると感じるのです。
男の子は、この「男であることの証明」の重圧から逃れることはできません。いつの時代も、何歳になってもついて回ります。生物的に、遺伝子に組み込まれたものなのでしょう。
非行の原因には、「男であることの証明」が絡む場合が多いのです。
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