非行少年とクジャクの関係性。オラオラした行動の意味とは何か
非行少年なんかもそうなのだけれど、派手な車を運転してドヤ顔をしたり、コンビニでたむろしたり、ファミレスで数人でオラオラした雰囲気で話をしていたり、町中でケンカをしたり、こういった人たちの生体を、進化生物学の視点をもって話してみたいと思う。
こういうオラオラ系の人種は、周囲に威圧感を与えたり、自己主張が激しかったり、周りの人間に対するマウンティングがきつかったりであるが、実はその他にも、無くてはならない要素がある。威圧感を与える、激しい自己主張をする、きついマウンティングをする。これらの行動のウラに、常に存在するある要素がる。
それは、「余裕」である。
こういう人種は、周囲に対する威圧感、激しい自己主張、きついマウンティングをするとき、その対極にあるともとれる「余裕」を、常に持っていなくてはならないのだ。
というのも、彼らの思考回路は「こんなこと、俺なら余裕でできるぜ」だからだ。考えても見てほしい。派手で目立つ車で運転している人間が、余裕なく運転していては格好いいだろうか。値段の高い車を運転している人が、実は生活費のやりくりに余裕がなかったら、格好いいだろうか。ケンカ上等の若者が、実は精神的に余裕なく、周りの人間に対して縮こまっていたら、格好いいだろうか。
こういった手の人種は、そんな危険なことをしている割に余裕があるから、周囲から一目置かれる(と思っている)し、満足感も得ることができる。
またもジャレド・ダイアモンド氏の本からの参考であるが、オラオラ系の人種のこれらの行動は、クジャクが派手な羽を広げるのと同じなのだ。派手な羽があるクジャクはオスだけであるが、オスが派手な羽を広げるのは、メスへのアピールである。
派手な羽を広げ、自分は生存能力のある強い種であること。自分は優秀な遺伝子を持っていることをアピールしている。
けれどよく考えると、どうして派手な羽を広げることがメスへのアピールになるのだろうかと疑問に思うだろう。生き残ることと派手な羽を持っていることは、直接的には何も関係性がない。その派手な羽は、食料になるわけでもないし、派手な羽が獲物を捕まえるために役に立つものでもない。寝床になるわけでもない。交尾の際に役立つわけでもない。
むしろ派手な分、危険なのではないだろうか。クジャクは鋼鉄の鋼に全身が覆われているわけではない。クジャクを覆っているのは柔らかい羽毛だ。おそらく肉食獣や猛禽類に狙われたらひとたまりもないだろう。野生動物は敵から身を隠して生活しなければならないので、すぐに見つかってしまいやすい派手な羽は、かえってリスクになりやすい。
クジャクの派手な羽は、実は生存能力にはなんの関係もない。無意味なものだし、かえってリスキーだ。けれど意味のないものだからこそ、逆に意味が出てくる。リスキーだからこそ、かえって価値が出てくる。
クジャクの派手な羽は、「自分はこんな意味のないリスキーなものにまでエネルギーを注げる」ということを意味する。クジャクは尾羽根を派手にするように進化した。尾羽根にエネルギーを割いて進化した。けれど生存したいのならば、もっとエネルギーを注ぐべきところが他にあるだろう。もっと進化させるべきところが他にあるだろう。
筋力とか、視力とか、聴力とか。そうすれば、敵から身を守りつつうまく生存できるのだろうに。けれどクジャクは尾羽根を進化させた。尾羽根を進化させることによって、「自分はそれだけ余裕がある」というメッセージを与えることを選んだのだ。
アフリカ・サバンナにするトムソンガゼルも、こういった無意味でむしろリスキーな行動をする。ガゼルはストッティングという行動をするが、これは肉食獣に狙われたときに、その場で跳躍してみせるのだ。論理的に考えると、その脚力を使ってすぐさま遠くへ逃げたほうがいいように思うが、時間とエネルギーをつかって、「その場で跳躍」という無意味でリスキーな行動を取る。これは、「自分にはこんなことできるくらい余裕があるよ」という肉食獣へのメッセージなのだ。
動物界には、このように無意味でリスキーな行動が溢れているが、その背景にあるのは「余裕」である。人間界も、この「余裕」をキーワードにして見てみると含蓄のある見方ができる。
若者は事故に合うかもしれない危険な運転をする。自己主張が激しい人間は、生存に必要なお金を削って、派手で値段の高いクルマや住居を購入する。アウトローな人間は、「体に害を及ぼす」とわかっているタバコやドラッグに手を出す。ケンカ上等な人種は、ケンカになりやすいとわかっているのに、コンビニでたむろしたり、ファミレスでオラオラした雰囲気をつくる。
これらの行動は無意味でリスキーだ。論理的に考えると、生存という観点からはなんの関係もない。けれど、だからこそ「自分にはそれだけ余裕がある」というメッセージになり、生物である我々の神経を満足させてくれるのだ。
以前、高速道路を車で走っているときに、高速道路脇に派手な車を止め、アスファルト上に座ってタバコを吹かしている若者の集団を見たことがある。車が時速100キロくらいで走っている危険な領域での、「自分らは余裕だぜ」なのだけれど、あれは生物学的に見ると「理解できる」行動であって、なんとも動物らしく微笑ましい行動なのだ。
セルフィーで死んでしまう人が後を絶たない。崖の上に立ったり高層ビルの屋上に立って自分の写真をとって、余裕を演出する人がたくさんいるのだけれど、あんな無意味でリスキーな行動も、生物学的に見ると「わかる」行動なのであって、動物らしい行動なのだ。
非行少年など、オラオラ系の雰囲気を出す人間の行動は論理的には、「余裕」という要素がなくてはならない。彼らの行動は論理的には理解できないものが多いが、実は「自分には無意味でリスキーな行動もできる余裕がある」という、実に動物らしいメッセージを含んでいるのだ。
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