どうして警察官は個人情報を聞くの? 警察官から名前を聞かれてウソをついたけど大丈夫?
警察官は「人定事項」というものを気にしている。「人定事項」とは何か。人定事項とは、「その人が誰なのか」あるいは「その人が本当にその人なのか」を確認することである。たとえば、「名前が一致している」とか、「生年月日が合っている」とか。
この間病院に行ったのだけれど、僕が診察室に入った直後に「念のため、名前と生年月日を言ってください」と言われた。アレも「その人が本当にその人なのか」を確認する作業である。
医者は患者を取り違えることが許されない。「違う人間の採血をしてしまった」とか「別の患者の薬を処方してしまった」とか、そんなミスは病院ではありえないだろう。だから、「目の前にいる人間が本当に自分たちが想定している患者であるかどうか」を確認する必要があるのだ。そういえば病院では「本人確認」と言っていたようだ。
最近では何事もデジタル化が進んでいて、銀行業務とて例外ではない。社会の重要な地位を占めていて、大きくて、組織的で、そして前時代的な印象の銀行でさえ、スマホで完結できるようになった。自分の口座にいくら入っているか、それと引き落としや振り込みなど、手のひらで済むように時代は進化した。
その結果、以前にもまして厳しくなったのが本人確認だ。「面倒になった」と言った方が良いのかもしれない。事あるごとに本人確認を要求される。まるで警察官の職質である。スマホで口座にアクセスしようとしてパスワードを忘れてしまったときも、電話口で電話担当の人から「本人確認のために名前と住所を‥」と言われてしまった。
警察官が気にする「人定事項」とは、銀行や病院などその他の場所で言う「本人確認」のこと。目の前の人が本当にその人なのかどうかを確認するものだ。
どうしてそんな事をするのかというと、警察官も病院や銀行と同じように、「間違えてしまった」では済まない仕事をしているからだ。
たとえば警察官がやっている仕事の代表的なものに、「逮捕」というのがある。これは身体を拘束することであって、相手の自由を一部奪うことだ。皆んな何気なく「逮捕」とか「捕まった」とか「捕まる」なんて言っているけれど、これがどれほどすごいことかわかっているだろうか。
「自由が当たり前だ」と認識されている現代において、空気のように自由を身の回りに感じている日本社会において、人一人の自由を公に奪うという行為「逮捕」が、いかに突出したことかわかるだろうか。
当たり前だけれど、日本は法治国家だ。法律によって支配されている社会のこと。僕たちは法律をある種、神聖なもののように見ているところがあって、「法律」という言葉を出されると弱い。「法律的に」とか「法律が‥」ということを言われると、何も手出しができないことのように感じる。
そんな神聖視されている法律によって、人一人の自由を奪って拘束することが「逮捕」なのだ。で、警察官は人を逮捕することができる。これは病院や銀行以上に社会の根底をなす行為であって、「間違えましたあ」では済まない。なので、しつこいような本人確認が必要。警察風にいうと、「『人定事項』を確認する」ことが必要なのだ。
で、時々聞くのが「どうして警察官は個人情報を聞くの?」なのだけれど、どうして警察官は個人情報を聞くのかわかっただろうか。病院や銀行で言う「本人確認」のためだ。「間違えた」では済まないからだ。
本人確認が個人情報になるのは、しょうがないことだと思う。いずれ技術が進歩すれば、スマホのように顔や指紋で本人確認ができるようになるのかもしれない。
「警察官は指紋をとれるじゃないか」と思ったかもしれないけれど、指紋を取るのは意外とハードルが高い。インクを指につけたり、それを照合したり、それと倫理的な意味でも面倒である。個人情報を自分の口で言ってもらうのが一番簡単なのだ。
もちろん、それなりにしなければならない時、つまり自体が大事である時には、本人確認を二重にも三重にもしなければならない。本人から口で言ってもらった個人情報での本人確認と、指紋なんかでの本人確認と、幾重にもその人かどうかを確認をするのだ。
それと、「警察から名前を聞かれてウソをついたけど大丈夫?」という事を時々聞くのだけれど、おそらく大丈夫だ。というのも、警察官が口で聞いただけの本人確認であれば、大して重要なことにはなっていないのだろう。
本人確認は、身分証明書で確認するのが本当のやり方である。運転免許証や保険証などの公的機関が発行した証明書で、目の前の人間と証明書を一致させるのである。目の前の人物と証明書の写真が同じかどうか。それから証明書に書いてある個人情報を確認する。そうすれば大抵の人間の本人確認はできる。
警察官の仕事は基本的に、逃げようとしている人を捕まえることだ。病院や銀行は、本人確認の相手が向こうからやってくるけれど、警察官の場合はベクトルの向きが逆だ。本人確認の相手は、警察から逃げようとする。警察官の仕事は、相手に罰を与えること。確認される側としてはデメリットこそあれメリットは基本的に無い。そういう意味でも、警察官の本人確認は病院や銀行よりもしつこいのかもしれない。
話が脱線したけれど、本当は公的機関が発行した身分証明書で本人確認をしなければならいのにそれをしなかったということは、その警察官に本気で本人確認をする気がなかったということ。「ウソを言われてもいいや」という感じで、表面的な本人確認だったのだろう。
「ウソをついても大丈夫」とは言わないけれど、「ウソをつかれているかもしれない」ということは、警察官にとっても前提としてあったのだと思われる。本当に本人確認をしなければならないなら、もっと厳しくやっている。
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