トラブル製造装置としての法律。法律や規則の負の面2つ〜あぶない法哲学 常識に盾突く思考のレッスン

2020.11.30 (月)

 

この本も面白かった。

 

 

1つ前に読んだ「科学をかたるとはどういうことか」も面白かったけど、この本も同じように哲学関係の本。よかった。やっぱりこれまでにない視点っていうのは、本を読むときの醍醐味だと思う。それまで当たり前だと思っていたこと。常識的すぎて意識すらしていなかったことに波を立たせる。無色透明な部屋に印を立てる。今立っている位置を、自分も含めてもう一つ高い位置から見る。そんな感覚が読書の美味しいところであって、それを提供できるのが「いい本」なのだろう。

 

 

シェフが作った料理によって、被提供者が「美味しい!」と唸る。著者やライターによって作られた本を被提供者が読むことによって「面白い!」と唸る。「こんな美味しい料理があったんだ!」と感激するのと同じように、「こんな面白い視点があったんだ!」と感激することが、本のメリットである。

 

 

さて、「あぶない法哲学」を読んで得た知見を1つ。僕も以前から考えていたことなんだけれど、この本にはうまく言語化されていたので紹介したい。法律の負の面である。

 

 

僕たちは法治国家に住んでいて、どこか法律を神聖視しているふしがある。法律によるジャッジを頼りすぎているのだ。何か問題があるとすぐに「法律的にはどうなっているんだ」と法律を頼るような考えを持っている。

 

 

確かに法治国家において、僕たちは法律の恩恵を受けている。法律がうまく世の中を治めてくれているおかげで、快適に過ごすことができる。自分の財産を盗まれる心配もないし、暴漢に襲われる心配もない。うまく法律がにらみを効かせているために、悪事を働く悪い人間が抑えられているのだ。

 

 

法律は敵をつくる

けれどそんな法律も、なにもいい面ばかりではない。何事にもいい面と悪い面の両面があるように、法律にも両面があるのだ。法律の悪い面とは何か。まずは敵を作ることだ。変な言い方だが、これは正しい。敵を作らないで平和に過ごすために作られた法律であるが、法律があるためにいざこざやトラブルが発生している。

 

 

たとえば僕は今、満喫で文章を書いているのだけれど、隣にいる人が気になっている。というのも、僕が座っている場所はオーブンスペースなわけで、隔離された個室ではない。ここは飲食不可になっているはずだ。なのに隣の人は、構わず飲食している。マックの包み紙を開けようとしている。おかげで食べ物のニオイが流れてきて、僕は大変不快な気分だ。

 

 

僕が隣りに座っている人を敵視する理由の1つは、「オープンスペースで飲食は禁止」という規則があるからだ。というのも、たしかに「オープンスペースで飲食は禁止」という規則がなくとも隣で飲食をされたらそのニオイが僕の方に流れてくる。けれどその場合、僕は隣の人を敵視しないのではないだろうか。

 

 

たしかに不快な気持ちにはなるのだろうけれど、「しょうがない」とか「この場所を選んで座っている自分が悪い」と思うのではないだろうか。なまじ「オープンスペースで飲食は禁止」という規則があるもんだから、「悪いことをしているのは隣の人だ」という攻撃的な気分になってしまう。

 

 

法律があってそれを破っている人がいると、たとえ自分に害はなくとも、自分が損している気になるのだ。

 

 

それとか、例えば家の話。隣の家の木の枝が伸びて、自分の家の庭にまで伸びてきている時。民法第233条に、「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」と書かれているけれど、この法律を知った途端、なんだか自分が損してる気になるのではないだろうか。もしも民法第233条のことを知らなかったらなんとも思わなかったものを、民法第233条があるために、自分が損をしている気分になる。

 

 

法律とは本来、争いをなくして平和に過ごすためのものではあるのだけれど、争いもないのに(気にならないのに)使おうとすると、途端にそれは争いの種になってしまう。

 

 

サバイバル能力が削がれる

それともう1つ。法律の負の面とは、サバイバル能力が削がれることだろう。本来、自分の頭で考えて判断する所、お上の判断に頼ることになる。仕事を他人にやってもらうようなもの、あるいは仕事を外注するようなものだろう。自分ではやらないために、自分はその仕事をこなす能力を、どんどん削がれていくことになる。

 

 

たとえば遊泳禁止。海水浴場なんかでは、泳ぐことができる区域と、泳ぐことができない区域が別れている。「この場所で泳ぐと危ないですよ」と注意を喚起してくれている。けれど本来、そんなものは自己責任で自分で決めるものなのではないかと思う。そこで泳いでケガをしたから、溺れてしまったからと、たとえば行政を訴えるようなことをするから、わざわざ行政が遊泳禁止区域を設けるのだ。

 

 

それとか消費期限とか賞味期限の問題。腐った食べ物を食べたら腹を壊すとか、そんな物は自分で判断するもののように思う。けれど、「この食品を食べてお腹を壊した」とメーカーを訴えるようなことをするから、メーカーも厳格な消費期限なり賞味期限を設定せざるを得ないのだ。

 

 

本来、自分で判断するところ、自己責任なところを、他人に責任を投げようとするから、自分のサバイバル能力が削がれていくことになる。自分の能力が無いのに、それを他人のせいにするから、「保護者が自分を守ってくれないから自分が怪我をした」なんて小学生のようなこと言う大人がいるから、余計な法律なり決まりなりを作らざるを得なくなるのだ。

 

 

元々は、僕たちを守ってくれるはずの法律。平和な社会を実現するための手段である法律。その法律が、実は僕たちの社会に争いを持ち込んでいる張本人でもあるのだ。実は法律は、トラブル製造装置でもある。「他人の有利が気になる」なんてて思い始めた人は、「自分の考えが依拠している法律や決まりがあるのではないか」と疑ってみるといいだろう。

 

 


 

 

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