論理学の勉強をしよう〜哲学思考トレーニング

2020.05.26 (火)

 

「論理的に主張してみたい」と思う人は多いだろう。

 

 

「どうやったら建設的な話し合いができるのか」

「どうすれば相手に自分の考えを論破されることなく主張することができるのだろうか」

「どうすれば相手の話の内容の不自然さに気づき、乗せられること無く話を聞くことができるのだろうか」

 

 

本書はこう言った問いに答えるものである。

 

 

本書のタイトルは「哲学思考トレーニング」となっているが、本文中で著者が言っているとおり、僕のこれまでの哲学に対するイメージとはずいぶん違うものだ。「どういった生き方が善なのか」とか「『ある』とは何か」「プラトンの考えはこうだ」と言ったものが、僕はこれまで哲学だと思っていた。

 

 

著者いわく、「私が専門とする英米の分析哲学で重視される考え方であるし、哲学の伝統の中でもいわば正統派の方法論だと思っている」とのことである。

 

 

本書は、クリティカル・シンキングを伝える内容である。「懐疑」という言葉が本書では使われているが、自分の主張や相手の主張を「本当にそうなのか」と振り返って、より強固なものにしよう、というものである。

 

 

疑いを向けるのだから、話術の筋力トレーニングのようなものだ。自分の筋肉をいじめてより強固な筋肉をつくるように、自分の主張をいじめて、より強固な主張にするのである。自分の主張を論破されないものにしたいのなら、どこに論破される可能性があるのか、自分で「ここはどうだ」「こっちはどうだ」と試す作業が必要である。

 

 

主張というのは、なかなか難しい。もちろん薄い主張を述べるだけであれば誰でもできるのだが、「本当にそうなの?」と疑いの目を持つと、疑いのないところを主張に捜すのが難しい。自分の考えを相手に伝えることは、難しいのだ。

 

 

普段顔を突き合わせている家族ですら、たった一つの言い間違いで場が修羅場になってしまう。自分が論理的に物事を主張できれば、どんなに素晴らしいだろうか。自分の主張を相手に伝え、それに相手も納得できれば、自分の思い通りに社会を動かせる機会は増し、人生が楽しくなるだろう。

 

 

人の話を聞く時も、論理的な話の構成を頭に入れておけば、騙されることもすくなくなる。世の中ではオレオレ詐欺が散発している。もしオレオレ詐欺にあった時に、論理的な話というものに対してイメージができていれば、矛盾だらけの話から「話に矛盾がある。もしかしたら詐欺なのではないか。」と疑って構えることができる。

 

 

論理的で説得力のある主張を作る際のキーワードが、本書ではクリティカル・シンキングである。クリティカル・シンキングという言葉には「批判する」というニュアンスが含まれるが、もっと優しく、「鵜呑みにしないでよく吟味する」という意味で本書では使われている。

 

 

クリティカル・シンキングでもって自分の主張を強固なものにし、クリティカル・シンキングでもって相手の主張のあらを探すのだ。

 

 

主張とは

1 主な主張(結論)

2 理由となる主張(前提)

3 前提と結論のつながり(推論)

から構成されると考える。結論をハッキリさせて、前提と推論を本当に妥当なものかどうかを吟味するのが、クリティカル・シンキングである。つまり、

1 議論の明確化

2 前提の検討

3 推論の検討

である。

 

 

「アイフォーンはスマホの中で一番だ」という主張があるとすれば、これに対する理由があったほうがいい。ただ結論のみではどうにも心もとない。他人から何かしら主張をされれば、「どうしてそう思うの?」「何か根拠はあるの?」と聞き返したくなるのが人情だろう。そこで理由を持ってくる。

 

 

「世界でお客様満足度がナンバーワンだ」「このお客様満足度は、大手の格付け会社が行っているもの」「この格付け会社には何百年という歴史がある」「この格付け会社は、売上が順調である」とか。

 

 

「アイフォーンは格好いい」「うちの家族も皆んな、アイフォーンが格好いいと言っている」「ある有名女優もアイフォーンが好きだと答えていた」「あるハリウッド俳優も、アイフォーンをいつもポケットに入れている」「昔、自分が世話になった先生も、アイフォーンを使っていた」とか。

 

 

「アイフォーンはスティーブ・ジョブズによって作られた」「スティーブ・ジョブズをクリエイティブの神様だと信者はいまだに多い」「アップル社は、アイフォーンの他にも魅力的な商品を次々に世に出し続けている」「スティーブ・ジョブズのスタイルにひかれる」とか。

 

 

理由として使われているものが理由として妥当かどうかを疑うのが、2の「前提の検討」である。

「お客様満足度って信用できるの?」

「アイフォーンが格好いいって本当にそう思う?」

「でもスティーブ・ジョブズは、人間的にはあんまり褒められた性格ではなかったらしいよ?」

 

 

理由から本当に結論が導き出せるのかどうかを疑うのが、3の「推論の検討」である。

「満足があるからってアイフォーンが一番だと言える?」

「『あの人もアイフォーンを使っていたから』って関係なくない?」

「神様スティーブ・ジョブズに作られたからアイフォーンが一番なの?」

 

 

「前提の検討」と「推論の検討」をして、それで「妥当だ」と判断できれば、クリティカル・シンキング的にはチェックが終了である。

 

 

正直、こんなに厳密に自分の主張を眺めると穴だらけである。そもそも僕なんかは、穴だらけなことがなんとなくわかっているので、あえて疑うこと無く「前へ前へ」の精神で主張している部分もある。厳密に自分の主張を疑いだしたら面倒なことこの上ないし、何も言えなくなる。

 

 

けれど、たしかにこの程度のチェックをしなければ、自分の主張が空虚であることもわかる。相手に刺さる、納得のいく主張も、クリティカル・シンキングの目がなければ出来ないだろう。

 

 

最低限、論理学の本を読んで、もっと論理学を勉強しようと思った次第である。

 

 


 

 

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