優しい性格になるには「時は金なり」を捨てることだ
「言葉は人を表す」という言葉を聞いたことがある。実際に誰が言っていた言葉なのか。実在の人物が言っていた言葉なのかはわからないけれど、たしかに「言葉によって僕たちの人格が作られている」というのは事実であり真実だと思う。
元々は、初めに人格があって、それから言葉があるのだとは思う。人に対して明け透けにものを言う人はきっぱりとした言葉遣いをするし、やわらかい物腰の人はやわらかい言葉を使う。威圧的な態度の人は、威圧的な言葉を使うし、明るい性格の人は明るくて前向きな言葉を使う。人格があって言葉。
けれど実は、これは卵が先か鶏が先かと同じ問題であって、常に「人格→言葉」なのではない。「言葉→人格」もありえるのであって、ここには相互作用が見られるのだ。ある特定の言葉使いをすることによって、その言葉に寄った人格になっていく。他人に対して威圧的な言葉遣いの人は、威圧的な言葉遣いをすることによって、ますますその威圧さを増していく。
犯罪学に「レッテル効果」というのがあって、レッテルを貼られた人は、ますますそのレッテルどおりになっていく、というものだ。
たとえば学校で「お調子者」のレッテルを貼られた者は、周りからもお調子者だと思われ、お調子者であることを前提にした接し方をされる。本人も自分はお調子者だという認識で行動するようになる。生活の方向がお調子ものに修練されていく。
「悪ガキ」というレッテルを貼られた者は、悪ガキという方向に修練されていく。先生もクラスメートも、その者に接する時は、その人間が悪ガキであるという前提で接するので、その人間が悪ガキであるというイメージが固まっていく。本人も「どうせ自分は」と思うし、周りに合わせるのが楽なので、「悪ガキ」としての選択肢を選ぶことが多くなる。
こうしてレッテルを貼られた者は、そのレッテル通りの人間になる。お調子者はお調子ものに、犯罪者は犯罪者に、である。
性格を変えるには言葉なのだ。僕たちはいつの間にか無意識のうちに、自分たちを規定している。言葉によって規定している。本当はもっと人生の幅が広がっていたはずなのに、いつの間にか言葉によって見える世界が限定されてしまっているのだ。
ついつい人に厳しい態度をとってしまう人は、どうすれば自分の性格を変えることができるだろうか。それを言葉で変えることはできるのだろうか。そのヒントは、「時は金なり」にあるのかもしれない。僕たちは時間を計量可能なものであるかのように言うことによって、時間をお金のように損得勘定で認識するようになっている。
その結果、「無駄に使って損をしてはならない」とか「有効活用して貯蓄しなければ」と、どこかせわしなく生きるようになった。子どもたちに対して「早くしなさい!」とか「いつまでやってんの!」と叫ぶ。お金のように計量できるものとして考えるから、損得勘定が出てきて、浪費することが許せなくなって、他人に対して厳しい態度をとりがちになる。
初めから「計量できるもの」という認識がなければ、損得勘定なぞ生まれず、「浪費する」という感覚も出てこない。実は、「時は金なり」ではなかったのだ。時間というものがあって、「それまで時間を明確に理解できなかったものが理解できたら『時は金だった』」のではない。時間は金でもなんでも無い。「時は金なり」という頭で時間を見るから、考えるから、時間はお金のように計量できるものになったのだ。
世界は目の前に広がっている認識である。世界を作っているのは、普段それとなく使っている言葉である。性格はものの見方である。「自分は身の回りをこんな風に見ていますよ」「自分は世界をこんな風に認識していますよ」という現れが、言葉である。であれば、認識を変えれば見方も変わる。言葉を変えれば性格も変わるのだろう。
人に厳しい態度をとってしまう人は、忙しさに追われていることが多い。子どもに厳しい態度をとってしまう親も、時間に追われていることが多い。いくら子どもに優しく接しようとしても、「もう時間がない」とか「早くしないと」と考えることで、それまでおおらかだった態度が、ガラリと変わってしまう。
時間は生活の根本の部分を占めているので、時間に対する認識、時間観が僕たちを縛っている部分は大きい。まずは「時は金なり」の呪縛から抜け出そう。実際に言葉に出さなくても、現実的に使ってはいなくても、「時は金なり」を前提に日々を過ごしている人は多いだろう、というかほとんどだろう。その認識を改めるのだ。
「時は金なり」を改めることによって、時間に追われることもなくなり、損得勘定もなくなり、「有効活用したい」「浪費したくない」の強迫観念から逃れることができる。人に対して厳しい態度をとることもなくなる。
人に優しく接するには、言葉を変えることであって、その格好の例として挙げられるのが、「時は金なり」からくる損得勘定を改めることなのだ。
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