理系嫌いをなくす理由と方法、あるいはATフィールドの破りかた
まず初めに私の立場を明らかにしたいと思います。私は文系です。高校生の時に理系科目は最低限しかとっていませんでしたし、大学も文系です。高校の初めの方で理系科目を勉強して以来、社会に出てからも理系科目を勉強する機会を持っていません。
ところで、世の中には一見すると対等に見えて、実は対等でないものがあります。例えば上と下。上と下は相対する二つの極ですが、対等ではありません。重力があるので、上に向かって投げたものはいずれ下に向かいます。上に向かうのにはエネルギーが必要なのに比べて、下に向かうのにはそれ程エネルギーを使いません。これが右と左だったら対等なのでしょう。
それと、地方と東京。これもよく比較されるものですが、対等ではありません。新幹線で東京に向かうのは「上り」と呼ばれるのに対して、地方に向かうのは「下り」と呼ばれます。地方がいくつもあるのに対して、東京は一つしかありません。これが地方と地方だったら対等なのでしょう。
理系と文系っていうのも一見すると対等の様ですが、実は対等ではありません。理系と文系には差があるんです。「理系の人間は文系の人間と違って、別に文系科目から逃げたのではない」という事です。それに比べて、おそらく文系と言われる人間の多くは理系科目から逃げて、文系という道を選んでいるんです。
現に私がそうです。算数や数学から逃げて文系を選択したんです。「難しい算数をこれ以上、勉強したくない」とか「思う様に点数が取れない数学さえなかったらもっと順位が上なのに」っていう現実逃避。大部分の文系人間が、大方その様な感じなのだと思います。
それに対して理系の人間は、理系科目が好きだから、理系科目が嫌いじゃないから、理系を選択したのではないでしょうか。やろうと思えば国語もやれる。歴史だって覚えようと思えばいつだって覚えられる。そんな幅を持っているのが理系を選択した人間でしょう。
文系人間が理系を選択できないのに対して、理系人間は文系でも構わないんです。
でも社会で生きていると、「俺は文系だし」なんて言っていられないんですよね。数学が分からなくて損している事って、多々あると思うんです。これっていうのは理系を避けてきた私だけでは分からない事です。おそらく数学が得意な人だけで考えても分からない事です。文系人間と理系人間が話し合って、あるいは二つの人種を比べて、初めて分かるものだと思います。
宗教の勧誘、オレオレ詐欺、各種の誘惑、あるいは恐怖。科学的に考えれば騙されることはないんでしょうけど、科学の知識がないために騙されたり、騙されそうになることってあるのではないでしょうか。自分が知らない分野の話でも、科学的な考えができるなら想像できるのに、科学的な考えができないばかりに想像できなくて。未知の力を見せられて「確かに神は存在する」なんて思うことがあるのではないでしょうか。
幽霊だっていないのに、不思議な現象を見せられて「怖い」と思ったり。科学的な知識があれば見えるものが、科学的な知識がないばかりに見えなくて恐怖する事が、人生の幅を狭くしていると思うんです。
社会で生活していると、理系的な頭の使い方や科学的な知識っていうのは、無ければ不利になるんです。「〇〇の方式」を知っているとか知っていないとか、そんな具体的な話ではありません。数学に対する苦手意識、科学に対するベーシックな教養。そんなものが見えない世界を作るんです。だから、子どもたちには私の様に数学を避けないでほしい。もっと科学に対して好奇心を持って育ってほしい。
どうして私が文系を選択したかというと、いわゆるコンプレックスです。自分を守るためです。「数学さえなかったら俺は頭がいいのに」って思ったんです。自分は頭がいいと思いたい。自分は頭が悪い奴だと周りから思われたくない。数学から逃げることで「俺は文系だし」っていう心の壁を自分の周りに作っていったんです。
「誰もが持っている心の壁だよ」って言っていたのは、フィフス・チルドレンの渚カオルです。エヴァンゲリオンの、です。ATフィールドが、です。使途やエヴァが展開する物理的な侵入を阻止するATフィールドっていうのは、実は心の壁だというのです。
「これ以上こっちに入ってこないで!」とか「自分をこれ以上、見られたくない!」っていう自分の殻へ閉じこもる行為、精神的な拒絶。それがATフィールドなのでしょう。
ATフィールドを破るにはどうすればいいのか。展開されてからでは遅いんです。展開される前に近づくのがいいのではないでしょうか。そもそもATフィールドが展開される事がなくなれば、自由に使途に接近できるでしょう。
生活する上で理系嫌いは致命的です。目に見えるはっきりしたものではないから、損していることに気づかないんです。分かりやすい「これ」っていう表面的なものではないから、失っている部分は本質的なんです。
「俺は文系だし」っていう心の壁を破る一番の方法は、初めから展開させないことです。理系に対する苦手意識を小さいうちから持たせないことです。子どもの心はもろいので、すぐに「俺って算数苦手なのかも」なんて思ってしまいます。
だから、大人は算数を勉強している子どもに対して「不向きだね」とか「苦手だね」なんて言わないことです。コンプレックスを意識させない事が大事です。たまたまその時点で点数が出なかっただけかもしれない。人より少し遅れているだけかもしれない。時間を掛ければ理解できるかもしれない。それなのに、そこで理系嫌いを作るにはあまりにも惜しい。
テストでの評価っていうのもやめた方がいいでしょう。順位付けされて人と比べられて、競争させられて。勉強とか学びっていうのは、決して人と自分を比べるものではないはずです。狭い範囲で比べたり、ごく一部と比べたり。そんな狭い視野で納めるものではなく、広い世界に繋がるのが勉強や学びであるはずです。
理系と文系の区別も終わりにするべきなんです。理系嫌いへの逃げ道を無くすのです。やっていくしかないし、付き合っていくしかないし、勉強するしかない。理系科目っていうのは積み上げが大事なので、社会に出てから挽回というわけにはいきません。少しずつでもいいし遅くてもいいので、地道に積み上げる環境を作るべきなんです。
生きていく上で理系の頭は必要なのに、文系という逃げ道が存在する。逃げ道をなくすべきだし、逃げたくなる気持ちをなくしてあげるんです。初めから作らせない。展開すらさせない。それが理系嫌いをなくす理由と方法です。
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