さまよう刃 〜 子どもの非行を防ぐためのブックレビュー

2017.10.04 (水)

 

“ 自分たちが正義の刃と信じているものは、本当に正しい方向を向いているのだろうか。向いていたとしても、その刃は本物だろうか。本当に「悪」を断ち切る力を持っているのだろうか。 ”

 

 

一人娘を蹂躙されて殺された父親・主人公の復讐劇。犯人はどうしようもないクズ、とはいえ少年。復讐の旅をする主人公は、犯人の一人をすでに殺しており、主人公にも殺人事件で捜査する警察の手が迫る。

 

 

警察が犯人の少年を捕まえるのが先か。主人公が少年に復讐を果たすのが先か。それとも警察が主人公を捕まえるのが先なのか。

 

 

仇討を認められていない法治国家において、主人公の行動は、法的には認められません。だとすれば復讐を求める主人公は間違っているのか。一人娘を理不尽な理由で失った父親は、その怒りをどこに持っていけばいいのか。

 

 

法律に任せていたのでは、犯人の少年には手厚い保護が待っている。人を死に追いやっていながら、制裁とは呼べないような軽い刑を受けただけで、後は更生という名の社会復帰プログラム。

 

 

では主人公に同情することが正しいのか。犯罪となるリスクを冒してまで犯人に復讐しようとする主人公に共感できるとするならば、それは法律が間違っているということなのだろうか。法の執行者である警察の存在とは何なのか。警察とは正義ではなかったのか。

 

 

確かに、法律が実社会に合わない場面はよくあることです。法律は完璧なものではありません。文章で持って世の中に発生することを統治することが、そもそも無理があるのでしょう。

 

 

それは少年法に限った話ではありません。刑法にしたって、特別法にしたって、穴はいくらでもあります。だから、すぐに法律を持ち出す人が、私は好きではありません。相手を説得しようとする際に法律を持ち出す人です。「法的には問題ない」とか「●●法に違反している」などです。

 

 

法律は決して万能ではありません。ですから、社会生活でトラブルを解決しようとするときに、法律を持ち出す事は、解決には至りません。表面上は解決したように見えても、法律で相手は納得しないケースが多いのですから。

 

 

法律の刃は決して正しい方向を向いていないのです。現実に、実社会においても、さまよう刃なのです。

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