どちらの習い事がいいのか、「わからない」のではなく「決まっていない」のだ、

2020.05.15 (金)

「シュレディンガーの猫」という名前で知られる思考実験がある。

 

 

ウィキペディアに寄ると、1935年にオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレディンガーが発表した思考実験。これは、ミクロの世界の不思議さを物語る説話として時々、いろいろな本の中で見かける実験である。この実験について少し説明するけれど、前提として僕もこの思考実験の理屈に関しては全然わかっていない。

 

 

まず密閉された箱の中に猫を入れる。この箱の中には、毒ガスが吹き出る装置が入っている。同時に箱の中に、50パーセントの確率で崩壊する放射性原子を入れておいて、毒ガス装置と接続し、放射性原子が崩壊すれば、毒ガスが吹き出る仕組みにする。

 

 

数時間後、この箱の中の猫は生きているのか、それとも死んでいるのか、という思考実験である。

 

 

放射性原子といのは、崩壊する状態と崩壊しない状態が同時に存在するので、箱の中の猫も、生きている状態と死んでいる状態が同時に存在する。数時間後に箱の蓋を開けてみると、確かに猫は「生きているか」それとも「死んでいるか」のどちらかであるのに違いはないが、それは蓋を開けてみるまで決まっていないのだそうだ。

 

 

普通の感覚としては、箱を開ける前から、箱の中の猫は毒ガスによって死んでいるか、それとも生きているかなんてのは決まっているように感じるが、放射性原子というミクロの世界の物質は、「ある」状態と「ない」状態が同時に存在するらしくて、「箱を開けるまで中の状態はわからない」のではなく、「箱を開けることで中の状態が初めて決まる」のだそうだ。

 

 

「2つの世界が同時に存在する? そんなわけないだろう」という意味で生まれた思考実験「シュレディンガーの猫」は、ミクロの世界の不思議さを説明する物語として知られるようになり、「物事に決まりはない」とか「世の中の問題に正解はない」ことの比喩として引用されるまでになった。

 

 

僕は基本的にこれと同じスタンスで、社会で起きている問題は、何事も正解はないと思っている。普段の暮らしの中で日々直面する「どうしたらいいのか」とか「どっちがいいのか」という素朴な疑問も、正解はない。

 

 

子育てをしていると、日々色々な選択肢に直面する。「今晩のカレーには鶏肉と豚肉、どちらを入れようか」という小さい問題から、「A塾とB塾、どちらの塾に子どもを通わせるべきか」という大きな問題まで、様々である。

 

 

けれど、これらの問題にも正解はない。どちらを選んでも、メリットとデメリットが同時にあるだけだ。

 

 

じゃあどちらを選んだらいいのか。正解がないのだとしたら、選ぶ際の基準は何なのかというと、僕は、どれだけ選んだ方を盲目的に信じられるか、だと思っている。

 

 

日々直面する選択肢。それらの選択肢の、どれを選んでも良い。どれが正解かは決まっていない。

 

 

けれど、後になってから実際に「選んで良かった」とか「選ばないほうが良かった」という感覚は得ることになる。ではこの感覚はどこで決まるのかというと、「自分が選んだ選択肢をどれだけ信じられるか」という、時間的に長さのある過程にかかっているのだ。

 

 

ここで冒頭の思考実験を持ち出すのだけれど、シュレディンガーの猫と同じである。シュレディンガーの猫は、「箱の中の猫は、フタを開けてみるまで生きているか死んでいるか決まっていない」ので、この思考実験からは「開けてみるまで決まっていない」という教訓を汲み取ることができる。

 

 

これが真実だとすると、僕らの生活を取り囲むあらゆる物事も、ミクロの目で見れば、開けてみるまで決まっていない。その時が来るまで決まっていないのだ。選択肢を選んだ時点ではまだ決まっておらず、それが正解なのか不正解なのかが決まるのは、ずっと後になってからである。

 

 

なので、僕たちは選択肢を前にして「どちらがいいのか」と決定する際、物事を決める際、「自分が選ぶ選択肢が正解だと思って突き進むしかない」ということになる。正解である場合と、不正解である場合の2つが同時に存在しているからだ。

 

 

これが正解(「良かった」と思えるか)なのか不正解(「ダメだった」と思うのか)なのかが決まるのは、後になってから。この「後」というのも、子どもが成長したときか、あるいは子どもが年老いたときか、あるいは数百年語とか人類がいなくなったときなのか、その基準すらも曖昧である。

 

 

日々の中で悩むことは多いけれど、できるのは、盲目的に信じて突き進むしかない。

 

 

同時に、他人のアレコレについてもいちいち口を挟むのはナンセンスだということにもなる。職場でも、自分より若い人間が一生懸命仕事をしているときに、自分から見れば「間違ったことをやっているな」と思うこともあるだろう。

 

 

けれど、それすらどっちに転ぶのか決まっているものではないのだ。後輩がやっていることが間違っているのか、それとも正しいのか。現時点では決まっておらず、決まるのはずっと後になってからである。

 

 

子どもと過ごしていると、子どもがやろうとすることに、どうしてもアレコレ口を出したくなる。人生を子どもよりも先に生きてるのだから、自分としては子どもより世界が見える気になっている。子どもが選んだ選択肢が、この先どうなるのか、親である自分としては既に見てきた感がある。

 

 

けれど、それは親の場合にそうなっただけであって、子どもの場合は違う未来に行き着くかもしれない。未来はどうなるのか「わからない」のではなく、「決まっていない」のだ。

 

 

 


 

 

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