むしろ人間の性の方がごく一部でしかない〜人間の性はなぜ奇妙に進化したのか

2019.06.11 (火)

 

推定3000万種。

 

これは、地球上の動物の種類です。これだけの種類の動物が、地球には生息しているんです。人間は、その中の一つの種類でしかありません。オオカミがいて、猫がいて。空にはカラスがいて、海にはクジラやカツオがいて。石をめくるとダンゴムシやミミズがいて、木の上にはカブトムシやクワガタがいて。さらには菌なんかも含むのでしょうか。

 

 

哺乳動物だけでも4300種がいるそうです。それに比べたら、人間というくくりは隅っこの方のごくごく僅かです。我々人間は、この世界が人間によって作られたと思いがちです。建物があって、文化を発展させて、言葉を話して、インターネットやスマホを駆使して。確かに他の動物、他の種類の生物の視点を我々人間は得ることはできず、想像するしかできないんですが、「ごく一部」ということを、頭の隅に置いておかなくてはならないのかもしれません。人間の見方っていうのは、大きな自然界の中ではごく一部でしかないんです。常に人間中心の隔たった見方からはのがれることができない。大きな視点で見ると、ねじ曲がった基準をもとに物事をみているってことです。

 

 

それはセックスも例外ではありません。我々はセックスに快楽を感じますし、人目を避けて行為に及びます。基本的にいつでも発情期です。これを当たり前だと思ってしまいがちですが、推定3000万種の動物の中で見ると、とても奇妙なことのようです。

 

例えばカマキリなんかは、交尾の後でオスがメスに食べられてしまうんですよね。私も交尾がなんたるかも知らない子どもの頃に知ったんですが、行為の最中や後に、オスはメスにムシャムシャと食べられてしまうんです。奇妙ですし、とても不思議な感じがします。どうしてオスは、食べられてまで交尾をしようとするんでしょうか。

 

 

だって、おそらくカマキリは人間のように交尾に快楽を感じないでしょうし、「たとえ快楽を感じていたとしても、殺されてまで交尾するのってどうなの?」って思います。我々人間としてはも、女性に殺されるのが分かっていたらその女性とセックスしませんし、何より近づきません。

 

 

でも3000万種の中で見たら、カマキリの行動を不思議に思う人間の方が奇妙なんです。カマキリを「どうなの?」って思う人間の方が、3000万種からは「どうなの?」って思われているんです。

 

 

生存とは、遺伝子を伝える機会を提供する戦略です。生物学的に見れば、「生きている」とは、人生とは、我々が生を受けた意味とは、遺伝子を後世に伝えることなんです。我々人間は、生涯に数人の女性とセックスをします。だから、カマキリの行動を不思議に思ってしまうんです。その時点でもう、人間中心の視点に隔たっているんです。

 

 

カマキリなんかは自然の中で、なかなか遺伝子を残す機会に恵まれません。オスにとってみれば、メスに出会えただけでも幸運なんです。「このメスを逃してしまったら、次にメスに出会う機会なんてない!」って思うから、自分の全てをこの交尾に捧げてしまうんです。

 

 

メスが産む卵の栄養状態は、母体次第です。母体であるカマキリのメスの栄養状態がよければ健康な卵が産まれ、その分、子どもが生き残りやすくなります。遺伝子が繋がりやすいんです。オスは遺伝子を残すために、自分の子孫を長生きさせるために、種の生存戦略として、自分をメスに食べさせるんです。交尾の最中にまで栄養を摂取できて、メスはさぞかし健康な状態で卵を産むことができるでしょう。

 

 

それにメスがオスの頭や腕から食べ始めれば、メスは食べることに夢中で最後まで生殖器は挿入されたままになり、オスはより長く精子を放出することができるようです。進化の理にかなった交尾を、カマキリはしているんです。

 

 

この本では他にも、「隠れてセックスするってどうなの?」「どうして人間には女性の排卵が分からないの?」「どうして男って子育てに消極的なの?」という問題を投げかけてきます。いずれも人間中心の目からは当たり前だと思えることですが、3000万種の目から見れば奇妙なことなのです。

 

 

我々人間の行動を客観的に見ることができる本です。読めばヒト中心の感覚が薄らいで、自分も3000万種の中の一部であることを感じる本です。道端の猫を見て、空を飛ぶカラスを見て、見えないけれどいるであろう部屋の中の蚊を想像して、全ての動物たちが自分の仲間なんじゃないかと思わせてくれます。客観の視点を得るのにおすすめの本です。

 

 

まあ、でも倫理的なことは常に考えていなければならないですけどね。生物学的な視点と、人間社会特有の倫理観ってのは相反するところがあって、生物学的には正しくても倫理に背いていることはいくらでもあります。というか、生物としての基本的特徴だから、「倫理」というフタで押させている衝動もあるわけです。倫理とか規則というものを軽視してしまうような雰囲気に読後はなるんですけど、そこは抑えることが必要ですね。

 


 

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