セネカはスティーブ・ジョブズでベーシックインカムを推奨していた〜人生の短さについて

2020.04.27 (月)

 

「ったく、最近の若者は‥‥」

 

 

職場に行くたびに、必ず誰かが言っているこの言葉、実は人間が文明を始めた頃から、延々と言われ続けている言葉だというのは有名である。文字ができて間もない頃、その頃からもう既に、このセリフはあったらしい。

 

 

僕も毎日、職場でこの言葉を聞いている。中堅どころや、年配の人が、若手に向かってぼやいているのだ。あの人たちは、このセリフが紀元前から延々と言われ続けている言葉だということを知っているのだろうか。もしも知っているのなら、そう簡単に「ったく、最近の若者は‥‥」なんて言えないだろうに。

 

 

もしも紀元前から言われ続けている言葉だと知っていたら、若者が至らないことをしても「人間とはそういうものだ」とか「人とはそんな生き物だ」と諦めることができるだろうに。諦めることができず、「ったく、最近の若者は‥‥」と言って若手に対して自身の価値観を示し、あたかも自分の価値観が人類普遍の価値観だと思っているようなことを示す、ということは、紀元前から言われ続けているセリフだいうことを知らないのだろう。

 

 

若手とは、そういうものなのだ。先輩にとっては至らないものなのだ。人とは、人間とはそういう生き物だし、そういう社会しか作れないものなのだ。だから、若手に「ったく、最近の若者は‥‥」と言ってもムダだし、思うことすらムダなのだ。言っても直らない。なぜなら、先輩にとって至らないことをやるのが若手だからだ。

 

 

それなのに、若手に対してイライラしているとは‥‥。話が「怒りについて」に移ってしまうが、理性が感情を制御するとは正にこのことである。「若手は先輩にとって至らないことをするものだ」というこの世の理(ことわり)をわかっていれば、イライラして怒りの感情に支配されることもない。感情は理性で制御できるものなのだ。

 

 

同じように、「現代人は忙しい」というのも、紀元前から言われ続けているセリフなのかもしれない。セネカが人生の短さについて、その対処法を書いているということは、古代ローマの時代、多くの人が、あくせく働いて「現代人は忙しい」と嘆いていたことが想像できる。

 

 

2020年の現代人が、パソコンに向かってパチパチと文章を打ち込みながら、あるいは遅刻しそうで小走りで電車に乗り込みながら「現代人は忙しい、どうかしてるよ」と思っているのと同じように、紀元前後の古代ローマ時代、当時の人々もパピルスにペンを走らせながら「締め切りが‥‥」とか共同広場での会議にに遅刻しそうになりながら小走りに走っていたのかもしれない。

 

 

人生が短いことについて、セネカは「人生が短いのではない。人々が短くしているだけだ」という。多忙な毎日に日々を忙殺され、時間を無駄に使っていることが、セネカは人生が短く感じる原因だと指摘する。

 

 

そこでストア派であるセネカの対処法は、享楽的な生活をしないことだ。忙しい仕事から身を引くことだ。実際にできることかどうかわからないが、忙しい仕事から離れ、享楽的な欲望を捨て、ゆっくりと勉強しながら過ごせば、人生を短く感じて焦ることはない、と説いている。

 

 

確かにこれは僕も理想的な生活だと思っている。こういう生活をする当たって、弊害となるのは経済的な問題である。お金が無くては生活が成り立たないのではないか。そこでもセネカはストア派の価値観を持ち出しており、「質素に生活すればいい」というようなことを言っている。質素に生活すれば、享楽的に時間を食いつぶすこともないし、お金が不必要に減ることもないのだ。

 

 

それと、「死を意識しなさい」というスティーブ・ジョブズのようなことも言っている。あらかじめ死ぬことを予定に入れて入れば、急に死ぬことになって焦ることもないだろうと。死が間近に迫ってきたとしても、あらかじめ心の準備できていれば、恐れることないと言っている。

 

 

未来にどんなことが起こるかわからないでいるから、行きあたりばったりになって、急に出てくるトラブルへの対処に「時間がないよ」と嘆いてしまうのだ。

「過去を忘れ、現在をおろそかにし、未来を恐れる人たちの生涯は、きわめて短く、不安に満ちている」

だから過去を勉強して、世の理を学ぶべきなのだ。物事はこの後、どのように転がっていくのか。出来事はこの後、どっちの方向へ行くものなのか。

 

 

このように書くと物理を学べと言っているにもとれるが、もちろんそうではない。「人間社会とはそんなものだ」「経済とはそんなものだ」「人を動かす文章とはそんなものだ」という勉強ももちろん、将来を読むことになる。

 

 

そう考えると、最低限のお金で暮らしを保証するベーシックインカムは、セネカから見ても悪くはないのではないか。ベーシックインカムで暮らしを保証して、多忙な生活から離れ、自分の興味に従って勉強しながら過ごす。そうすれば、万人の時間が長くなるのかもしれない。

 

 

ベーシックインカム制度は、個々人の時間をも長くする可能性があるのかも。

 

 

 

 

 


 

 

 

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