サッカーで子どもの力を引き出すオトナのおきて 〜 子どもの非行を防ぐためのブックレビュー
サッカーコーチの著者が書いた、自分で考えられる子、自分で気づける子、挑戦できる子を育むための子育て本です。将来、子どもたちが「いい大人に恵まれたな」と思えるようにだそうです。
子育てでは「チャレンジを評価する事」、「問いかけて考えさせる事」、「叱らない事」、と著者は説いており、サッカーのコーチ経験を通して、それを論じています。
私はバスケが好きなので「サッカーでできることはバスケでもできるだろう」「サッカー用の子育て理論はバスケにも応用できるだろう」と思って読んでいました。確かに応用できることがほとんどだと思いますが、読み終えてサッカーとバスケの違いを認識する結果となりました。
サッカーとバスケでは、展開のスピードが違うことが子育てにかなり影響してくると思います。コートが大きく足でボールをコントロールするサッカーは、バスケよりもゲーム展開のスピードが遅いようです。足でボールをコントロールするし、ボールを受け取ってから相手が寄って来るまでに余裕がります。足でボールをコントロールするので、ボールはそんなに機敏に動き回りません。
逆にバスケはコートが小さく、手でボールを扱います。プレーヤーが密集する中をボールがあっちに行ったりこっちに来たりするため、展開が早いのです。何回も攻守の切り替えが行われ、ボールを受けったらすぐに相手が寄って来ます。
サッカーは一回一回のプレーに対して考える余裕があり、バスケはそんな余裕なく感覚でプレーするのかなと。もちろん、両方とも考えるプレーあり感覚のプレーありなのですが、その割合が違うのです。
「考える」と「感覚」は一長一短です。最近、子育ては「自分で考えられる子どもに育てるために」などと頻繁に言われています。「だったら考えるプレーが多いサッカーの方が子育てにはいいのか」というと、そう短絡的ではありません。感覚が研ぎ澄まされている子どもは非常に有利です。ワープの様なものです。考えれば一歩一歩ゆっくり進むものを、感覚があれば考える過程を飛ばして一気にゴールまで進みます。
競技人口が多いというのも、サッカーにとって長所であり短所でもあります。競技人口が多ければそれだけ競技が発展します。突出した能力のある人が携わる確率も上がりますし、お金も集まりやすくなります。サッカーを通して世界中の人と仲良くなれるかもしれません。
だけど世界で一番メジャーな競技なので、その他一般と同じになってしまいます。サッカーをやっていても差別化ができないのです。本書でも「人と違うこと」が武器になる様なことを言っていますが、競技としてサッカーを選ぶことがもはや人と違うことではないのです。人と違うことを選ぶのであれば、サッカーを選んではいけなくなるのです。
ですがバスケやサッカーなど、スポーツは子育てに有効であることに変わりありません。ぜひその魅力に気づいて欲しいと思います。
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