抽象化思考・抽象化の視点とはそもそも何なのか

2018.07.07 (土)

抽象化について話します。抽象化思考、抽象化の視点、具体と抽象の概念、どれも言葉は違えど、言いたいことは一緒です。皆さんは、「抽象化」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。おそらく、多くの人がこのような場面で聞いている、もしくは使っているのだと思います。

 

 

「あの人の話は具体的でわかりやすい」

「今月の目標は抽象的でわかりにくい」

 

 

確かに具体っていうのは、わかりやすいものです。それに対して抽象っていうのは、わかりにくいです。ですが、だからと言って、具体が良いこと、抽象が悪いもの、だと思っていないでしょうか。もし、具体が善で、抽象が悪、としか考えられていないのであれば、それは世の中の半分が見えていないのと同じです。

 

 

具体とは、1つ1つにフォーカスすることです。抽象とは、まとめて1つとすることです。

 

 

具体の特徴をあげます。

・わかりやすい

・はっきりしている

・現実に近い

・主観的

・細かい

 

 

抽象の特徴をあげます。

・わかりにくい

・モヤモヤしている

・現実とは離れている

・客観的

・大雑把

 

 

例えば、ここにイチゴがあります。両手に収まるほどの器の中に、果物のイチゴが10個ほど盛られています。これらのイチゴは一見同じようなイチゴですが、色も形も微妙にそれぞれ違います。赤黒いものもあれば、薄い赤色のものもあります。綺麗な円錐形になっているものんもありますし、ボコボコとしたいびつなものもあります。

 

 

よく見るとツブツブの数も違いますし、ヘタの色や形も違っています。濃い緑色の下手もあれば、黄緑色をしたヘタもあります。もし目が肥えて入れば、ツブツブの色や形も違っているのも分かるのかもしれません。

 

 

 

恐らく品種も違うのだと思います紅ほっぺ、あまおう、とちおとめ、さがほのか。更にそれぞれの品種は、生産地もバラバラです。東北地方で作られているものもありますし、関東地方で作られているものもありますし、四国で作られているものもあります。外国産のいちごもあります。

 

 

見た目ではわかりませんが、味や香りも違います。強烈に強い味のものもありますし、控えめな味のものもあります。成分を調べてみれば、当分などの栄養素もそれぞれの値は違っているのでしょう。

 

 

このように、それぞれを細かくしていけば1つ1つに明確な違いはあるのですが、まとめて見れば「要はイチゴ」という事です。色々な違いや差はあれども「結局はイチゴ」という事です。それぞれ細かく見ていくのが具体、大雑把にひとくくりで見るのが抽象です。

 

 

例えば、目の前に車屋さんがあったとして、あなたはこれから買う車を選ぼうとしています。なんでも良いのですが、トヨタのディーラーに来て、これから車を買うのです。たくさんの車が並んでいます。セダンタイプあり、ワンボックスタイプあり、コンパクトカーあり、スポーツタイプあり。

 

 

トヨタのセダンであれば、クラウン、カローラ、カムリなどがあげられます。ワンボックスであれば、ノア、ヴォククシー、エスティマなどの車があります。コンパクトカーであれば、アクア、シエンタ、パッソ、ポルテ。スポーツタイプであれば、ハチロク、スープラなどがあります。色のバリエーションもあります。黒や白は王道ですが、他にも赤や青や茶色もあります。黄色もありますし、緑色もあります。

 

 

 

まだほとんど車を運転したことがないあなたは、とりあえずワンボックスタイプのヴォクシーに試乗してみます。色々と想像しながら乗りますね。車の大きさ、高さ、長さ、幅。ドアを開ける感覚、座席の高さ、目線の位置。座ってハンドルを握った際にフィーリング、エンジンの係具合。

 

 

走り始めれば、エンジンの騒音、路面から伝わってくる振動、視界の広さ、メーター類の見やすさ、助手席や後部座席の乗り具合など、色々ときになるところ、チェックしなければならないところは山のように出て来ます。

 

 

ですが「要は車」、「結局は車」ということには変わりありません。色々とチェックをして車を選ぼうとしているのですが、トヨタであろうと、日産であろうと、セダンだろうと、ワンボックスだろうと、赤色だろうと白色だろうと。路面からの振動がどうとか、ハンドルを切った際のフィーリングとか。色々と違いはあれど、つまりは車なのです。具体的に見ていけば色々と違いは出てくるのですが、抽象的に見れば車であることに変わりないのです。

 

 

この抽象、何が良いのでしょうか。具体には「分かりやすい」という、分かりやすいメリットがあります。では抽象のメリットは一体何なのでしょうか。それは、「一を聞いて十を知る」ことができる事です。

 

 

例えば具体的な視点しか持っていなければ、1つのイチゴを食べたとして「美味しいね」で終わってしまいます。「今食べたこのイチゴ、今口に入れたこのイチゴは美味しいね」で終わります。それ以上に世界は広がりません。

 

 

ですが、もしも抽象的な視点も持って入れば、1つのイチゴを食べた後に、「このイチゴ美味しいね。では同じ皿に盛られている、他のイチゴも美味しいに違いない。」という風になるんです。世界が広がるんです。「美味しい」という他にも、「風味がいいね」でも「イチゴとはこういう味なんだ」でも「今年のとちおとめは違うね」でもいいです。

 

 

自分が経験したこと以外にも、想像が膨らむんです。「味」というくくりでも、「風味」というくくりでもいいです。「イチゴ」というくくりでも「今年のとちおとめ」というくくりでもいいです。1つのいちごから、世界が広がるんです。これが「一を聞いて十を知る」ということです。

 

 

車を選ぶとして、多くの車を試乗しても良いでしょう。セダン、ワンボックス、コンパクトカー、スポーツタイプ。それぞれの車を試乗して、個々の走り方の違いを確認することもできます。それぞれの走り方の違いを確認すれば、それだけ現実に即した情報が手に入ります。

 

 

セダンとワンボックスでは、目線の位置に違いがあります。セダンとコンパクトカーでは、視界の広さが違うでしょう。ワンボックスとスポーツタイプでは、走行中の安定感に違いがでるし、乗りご心地は、走りかたや路面状況にも影響されて違いが出てくるはずです。

 

 

もし具体的な視点しか持ち合わせていないなら、一つ一つ確かめるしか手段はありません。白色のクラウンに乗って、街中を低速で走って見て、それから国道に出て中速、さらに高速道路で高速の走り具合を確認。次は赤色のクラウンで走り具合を確認。次はワンボックス、スポーツタイプ。トヨタ以外に他社の車も。

 

 

ですがそんなことは現実的に不可能です。どこかで区切りをつけなければなりません。そこで抽象的な視点です。「どれも結局は車」ということがわかっていれば、全ての車を試乗する必要はありません。たった一回の試乗から、他の車にも想像が膨らむんです。一を聞いて十を知ることができるのです。

 

 

例えば目の前のテーブルに赤いスープがあったとします。恐らく唐辛子を使っているであろうスープです。あなたは、まだこのスープを飲んでいません。ですが恐らく辛いであろうことは容易に想像がつきます。唐辛子色をしていますし、唐辛子のツブツブもたくさん浮いているのが見えます。

 

 

まだ飲んでいなくとも、この目の前のスープの味が辛いであろうことが、あなたには分かるんです。それは、これまでたくさん赤い色のスープを飲んだり、唐辛子を見たり食べたりして、経験してきているから。これまでの経験から世界が広がっていて、まだ経験していないことも想像できるからです。

 

 

あなたは目の前にいる人が、眉間にシワを寄せていたらどう思うでしょうか?恐らく、「この人、なに怒っているんだろう」と不安になるのではないでしょうか。初めてあった人でも、眉間にシワを寄せて入れば、それが怒っている表情であることは、だいたい想像がつきます。

 

 

逆に、あなたの目の前にいる人が、口元を広げて目を細めて入ればどう思うでしょうか?恐らく、「ああ、この人は今、機嫌が良い違いない」と安心するのではないでしょうか。それまで話をしたことがないような人でも、口元を広げて目を細めて入れるのを見れば、その人が機嫌が良いであろうことは、簡単に想像できるものです。

 

 

このように抽象のメリットは、一を聞いて十を知ることです。経験したことから経験したこと以上の事を得る事。共通性を見つけられれば、まとめてひとくくりにできるのです。だから、たとえ経験したものでなかろうと想像することができます。実際には、得るものは百にも万にもなります。

 


 

 

 

 

プレゼントの無料小冊子を更新しました。「子どもの非行を防ぐための素直な頭のつくり方」です。

 

 

非行に走る子どもは自己中が多いです。頭が固く、自分の価値観に固執しています。周りの人間の価値観や考えを受け入れられず、自分を通そうとします。自分以外の価値観や考えがあること自体が、見えていないのです。自分が正しくて、自分以外の考えは間違いだという先入観から抜けられない状態です。

 

 

子どもは周りから吸収する度合いが強いので、子どもの成長は周りの大人次第の側面があります。「周りの大人が自己中から脱し、素直な頭を持つ事で、接する子どもにも好影響を与えよう」というのが、この小冊子の狙いになります。

 

頭の柔軟性があり、状況や相手に応じて変化できる事。自分だけでなく、相手の考えも認める事ができる事。一つ上から全体を俯瞰できる事。そんな「素直な頭」をつくるための気づきを、この小冊子から得ていただければと思います。

 

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