交通違反者と同じで、「そんなわけない」が出てきたら盲目の兆しである

2020.09.19 (土)

「そんなわけない」という言葉に違和感を覚える。

 

 

「そんなわけない」という言葉を使う人がいるけれど、これほど自分を束縛している言葉もないと。「いかに自分が周りを見えていないか」を示している言葉だ。もしも周りから「そんなわけない」という言葉が聞こえてきたら注意してその人を見てみよう。この言葉を使った人は、周りが見えておらず、自己中におちいっている可能性が高い。

 

 

自分の場合も要注意だ。もしもこの言葉が自分の喉から出そうになったら、一度落ち着いて考えを巡らせてみよう。「自分は周りが見えていないだけではないか」「相手の立場になって考えられていないのではないか」「自己中に物事を考えているのではないか」と。

 

 

警察の仕事というのは面白く、人間の汚い部分が出る場面が多い。理性が消え失せ、感情を前面に出す人がいる場面によく出会う。ドロボーをした犯人を捕まえようとすれば彼らは必死に逃げるし、子どもを虐待した親を問い詰めれば、親も必死に自分を弁護しようとする。

 

 

人間は自分の非を認めたくない生き物。自分が劣っていることを示したくないし、自分が失敗したことは周りから見られたくない。強いものが生き残るという弱肉強食の生存本能が働いているのかもしれない。

 

 

警察の仕事は他人に非を見つけ、その非をあからさまにする仕事である。その非は、本人にとっては「なんでもない当たり前のこと」であるほど、警察が攻撃したことによる本人のダメージは大きい。本人にとっては非でもなんでもないと思っていたことが、他人(警察)から「それは非だよ」と指摘されたときの狼狽は大きく、狼狽が大きいほど本人は理性を捨てて感情を露わにする。

 

 

その狼狽による感情が顕著に現れるのが、交通違反の取締りである。一時停止なんかだと特にそうなのだけれど、本人は「一時停止のある交差点の通過は、このくらいのでいいだろう」と思っていても、警察官にとっては違反だという場合が多い。

 

 

警察官が求める一時停止とは、車両がピタッと一時停止線で停止することなのだけれど、世の中では一時停止線で停止せずに減速のみで済ませているドライバーが多い。そんなドライバーを止めて「違反である」ことを告げると、「そんなわけない」という声が返ってくるのだ。

 

 

たとえば「一時停止しなくても左右をよく確認できる」ということを、ドライバーからよく聞く。一時停止線を停止せず、減速しただけのドライバーがよく言うことだけど、彼らは車を走行させながら、左右をよく確認できると思っているのだ。

 

 

僕から言わせるとそんなことはできっこない。ドライバーが侵入しようとする交差点の安全を確認しようとすれば、右側の視界と左側の視界の両方を見なければならない。首を右に振って、その後で左にフラなければならないのだ。

 

 

「首なんか振らなくても、走行中に人がいたら視界の端に入るだろう」と思うかもしれないけど、視界の端に入ったとしても、それが何で、どのくらいの速度でどっちの方向に動いているのか、つまり必要な情報を得るには、視界の端で捉えるだけでは不十分だ。しかもそれが分からなければ、自分がどのように車を走らせたら良いのかは、安全が確認できないために判断がつかない。

 

 

一時停止線のあるような交差点では、首を左右に振らなければ、車を安全に走らせることはできないのだ。

 

 

首を左右に振るのに一秒かかるとすると、その一秒のうちに車がどのくらい進むのかが問題だ。車が一秒の間に進む距離は、時速20キロで約5.6メートル、時速30キロでも約8.3メートルらしい。時速40キロでは10メートルを超える。(参考はこちら

 

 

安全を確認できるほど周囲を見るには首を振らなければならないし、走行中に首を振れば時速20キロでも5.6メートル進んでしまうのだ。とてもとても「走行中でも安全を確認できる」なんてのは、反射神経に脂が乗っている20歳代の若者でもできることではないだろう。

 

 

けれど、一時停止違反をしたドライバーに対して「減速しただけでは左右の安全を確認できない」ことを伝えると、残念なことによく「そんなわけない」という言葉が返ってくるのだ。「そんなわけない」と言って、減速さえすれば車が走行中でも安全を確認できるというのだ。いくら「首を振っている間に車がいくら進む」とか「車を走らせられるほどの安全確認には左右をよく見なければならない」なんて説明しても通じない。「そんなわけない」と意地を通すのだ。

 

 

おそらく違反を指摘されたドライバーも、非を指摘されて感情が高ぶっているから、警察官の指摘に対して「そんわけない」というのであって、もしも、非を指摘されたような状況でなくもっと落ち着いて人の話を聞くことができる状況ならば、警察官の話を理解することができるだろう。

 

 

そもそも、世の中には「そんなわけない」という言葉を向けられるほど「あり得ないこと」などないはずだ。何事もあり得てしかるべきなのだ。太陽だって明日は西から昇るかもしれないし、一時間後には落としたリンゴが空中に浮かぶ現象が見られるかもしれない。……さすがにこれらは言いすぎかもしれないけれど、多くの人が思い込みで動いているからこそ、事故は起こるのだ。

 

 

連日ネットやテレビで交通事故のニュースが報道されているが、誰もが(飲酒運転でもない限り)歩行者を引こうと思って車を運転しているのではない。事故を起こして歩行者を引いてしまったのは、自分としては思いも寄らない出来事が起こったからなのだ。実際には「なんでもあり」ではないのだろうけれど、運転する方の感覚としては「なんでもあり」で運転しなければ、事故は防ぎきれないのだろう。

 

 

「そんわけない」は、僕たちが盲目的になっている時に出てくる言葉である。「そんなわけない」と言えるほど、僕たちは世の中を理解していない。「そんなわけない」と思って運転しているからこそ、交通事故が起きているのだ。もしも自分の比を誰かに指摘されて自分にとっての当たり前が否定されるとする。そんなときには「そんなわけない」と言いたくもなるだろう。

 

 

けれど少し待ってほしい。もう一度よく考えてほしい。本当にそんなわけないのか? 相手が指摘している自分の非は、自分でもわかっているものではないのか? 自分は今、自己中になって周りが見えなくなっているのではないのか?

 

 

「そんわけない」と言いたくなったら、要注意である。

 

 


 

 

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