脳と創造性 〜 子どもの非行を防ぐためのブックレビュー
創造性とは、一部の天才のための得意な才能ではありません。アインシュタインやアルキメデスの様な才能を持っていなくても、創造性は生み出すことができるのです。
本書では、どの様な時に創造性が生まれるのか、どの様にすれば想像的になれるのか、などについて、脳科学者の立場から説いている内容です。本書には、創造性を発揮するヒントが多く記載されています。
例えば、未知なるものについてです。「確実にこうなる」とわかっていることよりも、「不確実でどうなるかわからない」ことをしている方が、人間は想像的になれます。
コンピュータは人間よりも計算などの決められたものに対する答えを素早く見つけることができます。それは、答えが決まっているものだからです。
コンピュータと違って人間は、先が読めない社会に生きています。あまりにも多くのことが複雑に絡み合っており、確実な予測が不可能なのです。社会で生きることは、わからない中で決断・行動していくことに他なりません。
コンピュータと人間の違いは創造できることです。プログラミングされた世界と違い、人間の世界は不確実なものです。不確実さは、人間に創造性をもたらすものなのです。
脳は、自分で何かをやりたいと思った時に、もっとも活発に働きます。人から「これが良いよ」と勧められてもダメなのです。確かに人から勧められたものは、近道なのかもしれません。勧められたものをこなせば、効率よく目的地にたどり着けるのかもしれません。
ですが、脳にとっては違います。自発的な決断・行動こそが、脳の力を最大限に発揮するポイントなのです。もしかしたら失敗するかもしれません。時には自分で決めた道が、大変な周り道だったということもあるかもしれません。
食べ物を求めて南極の氷の上から海に飛び込むペンギンたち。危険を顧みずに一番先に飛び込むペンギンを、ファーストペンギンと呼びます。氷の上にいれば、エサはないかもしれませんが、すぐに死ぬことはありません。別なペンギンが飛び込んだ後に飛び込むのもありです。
ですが、エサを取って生き延びるためには、海に飛び込まなければなりません。一番先に海に飛び込めば、先に餌を見つけられるかもしれませんし、ペンギンの群れを、明日へ導くことができます。
未知への挑戦することで、道は開けるのです。創造性は、厳しい環境の中で生き延びる中で生まれました。不確実性を乗り越えるための生命作用なのです。
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