「子どもの好きな事をさせる」とは
最近、はまっている人に、梅原大吾(うめはら だいご)という人がいます。あるブロガーのブログを読んでいて、知りました。
驚きました。あの、格闘ゲームというジャンルのプロだというのです。あのテレビゲームやゲームセンターの格闘ゲームです。「ストリートファイター」や「KOF」や「鉄拳」や「バーチャファイター」など、あの格闘ゲームのプロだというのです。
ゲームというと、よくないイメージを持つ親がほとんどだと思います。目に悪い。時間の無駄。根暗。運動オンチ。教育上、良くない。引きこもり。世間知らず。成績に悪影響・・。
そんなイメージのあるゲームで、腕前を磨き、プロとして生活している人がいるという事に驚きます。・・というのは、そんなよくないイメージを持つゲームですが、その面白さは私も知っているからです。私も子どものころ、その面白さにはまっていた人間の一人です。
私は親が厳しく、あまりゲームをさせてもらえなかったため、確実にストーリーが進んで行くRPGで主に遊んでいました。格闘ゲームをやり込んで腕を磨いている友人を見てうらやましく思っていた時期もありました。
格闘ゲームは面白く、強さを求める男心をうまくつかむゲームです。コマンド入力の複雑さや、対戦相手がいることなど、難易度が高いのでやりがいもあります。しかし、確実に練習量がモノを言うジャンルです。ただうまくなるだけでも、相当やり込む練習量が必要なのに、そのチャンプとなると、気の遠くなる程ゲームをやり込んでいるはずです。
著書の中で、述べられていました。「うるさいことを言わず、ゲームをやらせてくれる親がいたからこそ、今の自分がある」と。
親としては一般的に、どんなに「子どもの好きなことを自由にやらせる」などと言っても、やはり限度があります。世間的に評価されず、ただ自分自身の自己満足としか思えないようなゲームを、ただ面白いからという理由だけで気が済むまで子どもにやらせる事は、よほどの忍耐と信念がなければできる事ではありません。
梅原さんの両親も、どこかの段階で必ず思っていたはずです。「もっと将来のためになりそうな事をすればいいのに」「もっと人のためになりそうな事に集中すればいいのに」「もっとマシな事をすればいいのに」
そんな喉まで出かかっていたであろう言葉を言わず、子どもを見守り続ける忍耐と信念は、尊敬に値します。そして結果、梅原さんの両親の育児は成功と言えるはずです。なぜなら、子どもが文字通り、「好きな事で生活していけるようになった」わけですから。
「子どもの好きな事をやらせる」という教育方針をよく聞きはするものの、その言葉は、一人歩きしていることが多いのが実情だと思います。本当に、子どもが好きなことをさせている親は、ほとんどいないはずです。
親は子どもの興味に、何かしらの制限をかけたり、親の都合で興味の対象を誘導したりします。「自分の好きなものを選びなさい。ただしこの中から」「好きなことをやりなさい。ただし◯時間だけ。」・・。結果、「子どもには好きなことをやらせた」という親の自己満足だけの名ばかり教育方針ができ、名ばかりなので中身がともなわないのです。
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