初発型非行の意味と統計は?

2020.09.01 (火)

初発型非行とは?

初発型非行とは、万引き、自転車窃盗、バイク窃盗の3つのことを指す。

 

 

初発型非行とは犯罪の入り口と言われ、この3つの犯罪をすることによって、他の犯罪へ行動がエスカレートしていくと考えられている。

 

 

万引き、自転車窃盗、バイク窃盗、どれも簡単にできるものである。計画性が必要なく、単純な理由でやってしまいがちな犯罪になる。

 

 

万引きは動機が単純で、「商品がほしいから盗る」というものである。スーパーでもコンビニでも商業施設でも、お店にいけば商品が並んでおり、いつでも手に取れるようになっている。一部の店ではショーケースに入っていたり、スプリングで商品と陳列棚が繋がれたりしていて、簡単には持って帰れないようになっているが、基本的に商品はいつでも持ち出し可能である。

 

 

もちろん、商品を手に入れるには、お金と交換しなければならない。陳列棚に並んでいる商品とは、価値を交換できるもの(主にお金)を持っていなければ手に入れられないのであり、価値交換できるものを持っていなければ、いくら「欲しい」と望んだところで手に入れることはできない。

 

 

こんなことは当たり前ではあるけれど、同時に、誰もが一度は「お金を払わずに商品を手に入れられないものか」と考えたことがあるはずだ。「わざわざお金を払わずに持って帰れないものか」と。

 

 

「お金を払ってしまえば、手持ちのお金が減ってしまう。本当にお金と交換するだけの価値がその商品にあるのかと考えると、そうとは思えない。その商品のためにお金を差し出すほど、その商品に価値のないことはわかっている。けれど欲しい」

 

 

そんなことを考えたことがある人は、たくさんいるのだろう。けれど、実際にそれを実行に移せる人はなかなかいない。人には先見性があるからである。善悪の判断があるからである。

 

 

「お金を払わずに商品を持ち去るとは、すなわち『盗む』ことであるが、そんなことをすれば店員などに見つかってしまう。そうなると大勢の前で好奇の視線を浴びることになってしまう。

しかも警察を呼ばれるかもしれない。警察を呼ばれれば、警察署に連れて行かれて拘束されるかもしれないし、起訴されて裁判沙汰になるかもしれない。さらには前科持ちになるかもしれない。そうなれば自分の人生に不利だ。というかそもそも、窃盗は倫理的に悪なので、有利不利以前にやってはいけないことだろう」

 

 

こんなことを考えられるのが一般的はな人なのだが、少年や子ども、あるいは少年や子ども並みの考えしかできない者は、ここまで深く考えることができない。先見性もないし倫理観もない。だから商品を盗んでしまうのである。

 

 

誰しもが一度は思うことを簡単にやってしまう。そういう意味で、万引きは犯罪の入り口、犯罪の登竜門と言えるのだ。

 

 

また、「誰しもが一度は思うことを簡単にやってしまう」という意味で、自転車窃盗も同じである。誰もが急いでいるときや疲れているときには、他人の自転車が欲しくなってしまうはずだ。「今、自転車があったら楽なのになあ」なんて、多くに人が思ったことがあるはずだ。

 

 

家路に急いでいる時、職場に急いでいる時、バイト先に急いでいる時、友人との約束に急いでいる時。あるいは仕事で疲れていて、バイトで疲れていて、部活で疲れていて、「もう歩きたくない」と感じる時。

 

 

そんなときは、駐輪場に駐輪してある自転車がまぶしく見える。誰もが想像してしまうはずだ。自転車に乗って、素早く、しかも楽に移動する状況を。自分の自転車ではなくとも、「乗って帰りたい」と思ったことは誰にでもあるはずだ。

 

 

けれどここでも、先見性や倫理観が出張ってくるために、実際に他人の自転車に乗って変える人はなかなかいない。「見つかったら恥ずかしいし、警察を呼ばれるしなあ」とか「自転車の持ち主も困るだろうし、悪いことはやってダメだ」と考える。

 

 

けど少年や子ども、あるいはその程度の考えしか持たない者は、先見性や倫理観の壁を超える。「早く目的地に付きたい」や「楽に移動したい」という自己都合を実現させてしまうのである。

 

 

バイク窃盗も同じである。これは「誰もが思ったことがある」とは違うかもしれないが、年頃の男の子は思ったことがあるだろう。バイクは男子の憧れである。「バイクに乗っている自分は格好良く思えるに違いない」あるいは「原付きバイクすら盗める自分は格好いい」という考えを彼らは持っている。

 

 

悪いことをする自分に憧れるのは、男の子であればある種当たり前の心理である。男の子にも先見性や倫理観はあるのだけれど、あまりに先見性や倫理観が足りていないと、万引きや自転車窃盗と同じく、自己都合を実現させてしまう。先見性や倫理観の壁を超えて、自分の欲望を実現させてしまうのだ。

 

 

このように初発型非行とは、誰もが一度は考えたことがあるもの、用意に考えつくものである。それ故に、「人間性を試すもの」でもある。誰もが内心でこれらの誘惑と闘っている。そのうえで先見性や倫理観が勝り、犯行をしないでいるのである。

 

 

初発型非行をしてしまうとは、誰もが抑えている誘惑にすら負けてしまうことを意味する。「誰にでも初発型非行をしてしまう機会は存在している」と言える。誰にでも門戸が開かれているがゆえに、犯罪者への登竜門なのだ。

 

 

初発型非行の統計は?

統計上はどうなのかというと、警察庁のデータが、比較的信頼できるのではないか。平成31年1月〜令和元年12月犯罪統計というのがあって、ここの9ページ目と10ページ目が「窃盗 手口別 認知・検挙件数・検挙人員 対前年比較」となっている。

 

 

平成31年1月〜令和元年12月において、刑法犯検挙件数は全体で29,4206件であり、そのうち19,914件が少年事件である。

 

 

平成31年1月〜令和元年12月において、万引きは65,814件が検挙されたのに対して、そのうちの5,107件が少年事件である。

 

 

平成31年1月〜令和元年12月において、自転車窃盗は11,004件が検挙されたのに対して、そのうち2,260件が少年事件である。

 

 

平成31年1月〜令和元年12月において、バイク窃盗は2,422件が検挙されたのに対して、そのうち725件が少年事件である。

 

 

 

少年事件が19,914件あるうち、万引きは5,107件である。少年事件のうち、約25パーセントが万引きである。

 

 

 

少年事件が19,914件あるうち、自転車窃盗は2,422件である。少年事件のうち、約12パーセントが自転車窃盗である。

 

 

少年事件が19,914件あるうち、バイク窃盗は725件である。少年事件のうち、約3パーセントがバイク窃盗である。

 

 

少年事件が19,914件あるうち、初発型非行である万引き、自転車窃盗、バイク窃盗を合わせた件数は8,254件である。少年事件のうち、約41パーセントが初発型非行である。

 

 

とまあ、こういうパーセンテージが得られるのである。このパーセンテージを出したところで、「それが何を意味するの?」と言われるかもしれないが、初発型非行をイメージする際のだいたいの参考にしてほしい。

 

 

初発型非行という考え方も根強い考えであって、警察関係者もいつまでも使っている表現ではあるが、「現代に合う考えなのか」と聞かれると微妙である。スマホやタブレットが普及して、なんでもネット上で事が足りる現代において、万引きやバイク窃盗の位置づけも変わっていることだろう。

 

 

けれど、「誰もが一度は考えたことがある。計画性が必要なく単純で、先見性や倫理観の壁を乗り越えやすい」という意味では、普遍であるとも言える。

 

 

「初発型非行はだいたいこういうもの」というイメージをもってもらい、少年非行というものを考える際、子育てをする際の参考にしてほしい。

 

 

なお占有離脱物横領については、考えを単純にするために自転車窃盗から除いて計算している。

 

 


 

 

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