大局観 〜 非行防止の子育てや原因・家庭環境・少年の心理を探る

2016.01.04 (月)

 

この本は、将棋棋士である著者が勝負に対する考え方を網羅して書きつづったものです。執筆期間は平成22年の早春から平成23年の早春までとなっています。

私は、子育てにも勝負のようなところがあると思います。子どもとの勝負、妻との勝負。ブラブラと遊んで過ごそうとする子どものやる気スイッチをいかに押すか。いかに勉強する方向に持っていくか。妻と意見が合わないとき、いかに妻の機嫌を損ねることなく、自分の意見をとおすか。
そんなときに、自分の意見を通そうとして感情的になってしまっては、大局観に立った判断とは言えません。あくまで目的は子どもの健全育成なので、妻や子どもに自分の考えを押し付ける事は、大局観に立たない短絡的なメリットでしかありません。目的地を見失わず、短期的なメリットに飛びつかず、大局観に立った健全育成を遂行しなければなりません。

著者は、勝負における大局観を「若さに対抗するもの」として以下のように述べています。

体力や手を読む力は、年齢が若い棋士の方が上だが、大局観を使うと「いかに読まないか」の心境になる。
大局に立って考えること。パッとその局面を見て、今の状況はどうするべきかを判断する。攻めるべきか、守るべきか、長い勝負にした方が得か、などの方針は大局観から生まれる。複雑な状況で決断を下すときは、この大局観で無駄な読みを省略でき、正確性が高まり思考が速くなる。
大局観を身につけると、未知の場面にも対応できるようになり、失敗を回避する方法ができ、さまざまな場面における重要な要素を抜き出せるようになってくる。
大局観は多くの経験から培われるものなので、自分以外の人間のケースをたくさん見ることでも磨かれていく。
大局観には、その人の本質的な性格や考え方がとても反映されやすい。

この本の構成は、以下のとおりです。

第一章 大局観
第二章 練習と集中力
第三章 負けること
第四章 運・不運の捉え方
第五章 理論・セオリー・感情

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