イライラしないで優しくなる有効な方法は、子どもと距離を置くこと

2020.07.16 (木)

「ウチの子どもが悪いってのか!?」

 

 

警察官をやっていると、ケンカやトラブルの現場によく行くようになる。酔っぱらいどうしで、ヤクザもんどうしで、若者どうしで、家族内で、ご近所どうしで‥。ケンカやトラブルの形態は色々あれど、見ていて「みっともない」と思うものものある。もちろん、ケンカやトラブルなんて例外なくどれもみっともないものだけれど、特に「みっともない」と思うものだ。それは、子どもどうしのケンカに親が絡むことである。

 

 

以前、こんなのがあった。5年ほど前のの話。とある商業施設から110番通報があった。ケンカをしている、とのことだ。その商業施設の一角には、子どもが遊ぶための公園が設置されており、その公園には人気アニメを真似た(たぶん)、海賊船の遊具があった。ケンカの発端は、その遊具でのことだった。

 

 

その海賊船の遊具に登って遊べるのは10人弱であるにも関わらず、その遊具で遊びたい幼児はそれ以上にいたのだ。数人の順番待ちの列は出来ていたが、「こちらで順番を待ってください」というような案内板もなかった。遊びたい子どもは、空気を読んで列に並ばなければならなかった。そのうちに一人の男の子が順番を越して遊び始めた。それで順番を待っていた子どもの親が、順番を越した男の子を注意したところ、親どうしの争いになったのだ。

 

 

初めのうちは「順番を守れ」と「順番なんてないようなものだろう」の争いだったけど、そのうちに「言い方が気に入らない」とか「態度がなってない」とかなって、さらには「腕を掴まれた」とか「手が当たった」という争いに変わっていた。まあ、ケンカやトラブルではよくあることだ。

 

 

ところで僕は格闘技が好きなのだが、総合格闘技は立ち技で始まり、投げを経て、寝技に至る。打・投・極が、総合格闘技の流れである。

 

 

ケンカやトラブルも同じ。始まりこそ多種多様だが、流れはどれも似たようなもの。途中で「言い方が気に入らない」「態度が成っていない」と因縁をつけ、さらには「腕を掴まれた」「手が当たった」という重箱の隅をつつくような争いになる。まるで、立ち技で始まった試合が、テイクダウンを経てグラウンドに移行するようなものだ。

 

 

つまり僕が言いたいのは、親というのは子どもと距離が近づきやすい、ということだ。子どもどうしの争いに親が絡む例を見ていて思うのだけれど、どの親も自分の子どもに入れ込んでいる。大抵、自分の子どもに有利に事を進めようとする。

 

 

順番を守らなかった子どもの親は「順番なんて‥」と言うし、順番を守っていた子どもの親は「順番こそが‥」と言う。よく考えれば、というかちょっと距離を置いて考えれば、「どっちだっていいじゃないか」あるいは「どっちも正しい」ということになるだろう。白黒なんてはっきりとはつけられない。灰色のグラデーションが広がっているだけである。

 

 

そう言えば、人気少年漫画「ブリーチ」のタイトルの意味、知っているだろうか。「白でも黒でもない」らしい。

 

 

親は子どもに対して距離が近くなってしまう。自然と距離が近くなってしまう。助けてやろうとするし、肩を持ちたくなる。意識しなくても、距離は近いものとなる。そりゃあそうだ。自分の遺伝子を受け継いでるであろう自分の子どもだし、家族という一番身近な社会の構成員である。愛情だって湧くはずだ。

 

 

けれど、それだと盲目になってしまうのだ。距離が近いと、客観的な判断ができなくなってしまう。近距離でディスプレイを見ているのと同じで、全体が見られなくなる。代わりに細かいところが気になってしまう。人間関係も同じで、距離が近いと第三者的な判断ができなくなってしまうのだ。

 

 

ぼくは、親子関係に関しては、距離を置くくらいが丁度いいのではないかと考えている。そうでないと、自然と距離が近くなって、しかも距離が近くなっていることにも気づかないで、必要以上に自分の主観で子どもの生活を切ってしまいかねない。

 

 

例えば野球が好きなお父さんは、自分の子どもにも野球を教えたがるのではないか。必要以上に、子どもの意志以上に野球を推してしまうだろう。それでは子どもの幸せにならない。子どもの人生の選択肢を狭めてしまうことになる。親があらかじめ選択肢を限定してしまっては、子どもは親以上の視界を得られないことになってしまう。それでは可愛そうだ。

 

 

以前、「予想通りに不合理」の著者ダン・アリエリー氏がどこかの雑誌のインタビューで言っていたのだけれど、「幸福とは選択の自由である」のようなことを言っていた。人は自由に選択できる状況を幸福と感じるらしい。

 

 

 

 

であれば、親なら子どもの選択肢を狭まるようなことはしない方がいいだろう。子どもの人生における選択肢を広げなくては。子どもに愛情があるのはわかる。子どもに思い入れがあるのもわかる。子どもの幸せを願うのもわかる。であるならばこそ、距離感には気をつけなくてはならない。

 

 

自分の狭い主観で子どもの人生を狭めてしまわないよう、子どもとの距離には気をつけておくべきだ。子どもとの距離はいつの間にか近くなっている。認識のないままに。

 

 

意識して距離を置くくらいが、優しさには適しているのだ。

 

 

 


 

 

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