焚き火の達人 〜 非行や子育てについて考えるためのブックレビュー
親としては子どもに、「生き抜くための技術」を身につけて欲しいと思います。世知辛いこの世界で、いかにして生き延びるかです。子どもにできるだけ効率よく生き延びる力を身につけて欲しいために、学校に通わせ、習い事を選び、家庭学習をさせます。
確かに学校や習い事や家庭学習で、生きる技術は身につけられるかもしれません。ですが、それらの全てが恐らくは代替え品でしかありません。学校で身につけられる集団生活も、習い事のサッカーやピアノも、家庭学習もです。
学校や習い事や家庭学習も、間接的に教えているに過ぎません。それは、自然の中でサバイブする能力をです。実際に自然の中でサバイブする機会なんてないので、人間社会という自然よりも下位の層で求められる、勉強やスポーツや芸術を身につける事で事足りてしまうのです。ですが実際に人間社会が崩壊し、大自然の中に放り込まれたら、これらの事は役に立ちません。
もちろん間接的には役に立ちます。学校の勉強は、自然の中で生き残るための方法を考える土台となります。サッカーやピアノで得た技術や集中力も、大自然の中では生き残るためのプラスアルファとなってくれるでしょう。
ですがそれらはあくまで二次的に役に立つのであって一時的ではありません。私は、自然の中で生き延びる術こそが、究極的な「生き延びるための技術」なのだと思います。人間社会が崩壊して、電化製品など便利な物がなくなったとしても生き延びることができる技術です。そして、自然の中で生き延びるための第一歩が、火をおこせることなのです。
素人的にもなんとなくわかるはずです。自然の中に放り込まれたら、生き残るためにはまず火をおこせなくてはなりません。暖をとり、食べ物を確保するためです。自然の中で生き残る原点が火をおこすことであり、ここが第一歩のはずです。
本書で述べられている「自分で生きる強さ」とは、多くの親が子どもに求めているものです。それは、代替え品である勉強、スポーツ、芸術などを通り越した、不純物を一切無くした、直接的で究極的な「生き抜くための技術」なのです。
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