ポーンと突き抜けるのは主観と客観のバランス。テニスをはじめて山月記の李徴を思う。
テニスを始めてみた。
なるほど、スポーツとは突き抜けるような快感を目指すものなのだろう。だから世界的にこんなにも多くの人に受け入れられている。長い歴史の中で忘れられずにずっと繁栄している。
近所のスポーツクラブに通おうと思っている。というのも運動不足で体型が崩れてきたからだ。僕はどちらかというとスマートな方で、大学のときから今までほとんど体型が崩れていなかった。体重も一緒だった。スーツもほとんど買っておらず、というのも腰回りが変わっていないからだった。
けれどさすがにフォーティーになると今までのようにはいかないようで、崩れてきているのがわかる。今、満喫で「風の谷のナウシカ」の原作を読んでいるのだけれど、ちょうど巨神兵オーマの体が崩れてきているようなものだろう。ボトボトと肉片が崩れるように、僕の体型も崩れてきている。
というわけで始めたのがテニス。特にテニスに思い込みがあったわけではないけれど、なるべくしてなったのかもしれない。
近所にスポーツクラブがあって、そこでテニスクラスがあったから。……ではあるのだけれど、そう言えば僕は前からテニスに興味があったのかもしれない。テニスは錦織選手や大阪選手の活躍もあって、日本のメディアでもお目にする機会が増えている。
今ウィキペディアで調べてみたけれど、期限はかなり古いようで、紀元前のエジプトにまで遡るらしい。古代エジプト王朝のミイラがサッカラで見つかったというニュースを見たけれど、彼らミイラも生前はテニスをたしなんでいたのかもしれない。
今日、コートに立って、ラケットを持って、テニスボールを打ってみて。思ったのは、「気持がいい」だ。何が気持ちがいいのか。ラケットがボールを弾く瞬間がたまらなく快感である。
テニス漫画なんかを見ると、テニスラケットがボールを弾く際の音は「ポーン」なんて表現される。まさにそのとおり。「ポーン」と書かれると、「どうしてそんなに柔らかい表現なのだろう」とすこし不思議思っていたのだけれど、テニスラケットがボールを弾くというのは柔らかく、それでいて気持がいい。
おそらく最初に「ポーン」という音を考えついた人は、テニスをやった経験があったのだと思う。テニスを外から見ている分には、「ポーン」なんて音は考えつかないだろう。もっと固い音を表現しようとするはずだ。「バッ」とか「ガッ」とか。
「ポーン」には、実際にテニスラケットを持ってボールを打ち、手から伝わる感触も含まれている。テニスを外から見る客観と、テニスを実際にプレーする主観が入り混じった表現が「ポーン」なのだろう。「客観と主観が入り混じった」なんて書くと、「ポーン」という表現がとてもバランスのいいものに思えてくる。
スポーツをする目的というのは僕の場合、健康のため、体型維持のため、運動不足解消のため、ではある。けれどこれではスポーツを邪(よこしま)な目で見ているようなものだ。そうでなければ、テニスがこれほど発展して広く受け入れられている理由が説明できない。
スポーツは快楽を追求するからここまで発展したのだ。スポーツは楽しいのだ。テニスも楽しい。ラケットでボールを打つときの、手から伝わる突き抜けるような感触。体の芯まで伝わる弾ける感。この楽しさを追求するのがテニスの楽しさであって、このトンネルを通すようなポーンという感触が、テニスが広く受け入れられている理由なのではないかと思う。
テニスラケットでボールを打つ感触は、飛ぶように軽い。重さがない。僕は少年野球の経験があるのでバットを振ることはあったのだけれど、野球のバットのような重さがテニスにはない。野球も迫ってくるボールをバットの芯でとらえて打ち返すと軽くて爽快なんだけれど、あの快感をもっと近くで体感できる感じだ。
向こうからやって来たボールがラケットのガットに触れ、ガットが後方にたわむ。ボールもガットに当たって形がひしゃげる。そこからガットがたわんだ反発で元に戻ろうとする。と同時にボールも元の形を取り戻そうとしてボールの運動に勢いがつく。
おそらくこの、ラケットのガットとボールの元の形に戻ろうとする弾ける感が、「ポーン」という爽快感を作り出しているのだと思う。抜ける感じが心地いい。「ポーン」の快楽を追求しようとして、ラケットやボールは改良を重ねられてきたに違いない。
1つ気がかりなことがあって、これはもう、「テニスの王子様」を読まねばならなくなるのではないだろうか。漫画喫茶で仕事をするのが最近の日課になっているけれど、次々に読みたいマンガが表れる。最近までは「弱虫ペダル」を読んでいたし、今は「風の谷のナウシカ」を読んでいる。西炯子先生の「恋と軍艦」も読み始めている。ここに「テニスの王子様」が分け入ってきてしまった。
アマゾンを開けば読みたい本が表示されるし、プライムビデオを開けば見たい映画が自己主張する。仕事をしようと漫画喫茶に入っても読みたい本が目の前に現れる。体はテニスをして疲れ、休養を欲しがっている。これまでよりも睡眠時間を要するので、起きている時間は少なくなる。時間はいくらあってもたりない。
「人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短い」などと口先ばかりの警句を弄したのは「山月記」の李徴だけれど、テニスをはじめて虎になった李徴を思う羽目になってしまった。
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