天使の屍 〜 子どもの非行を防ぐためのブックレビュー
「子どもには子どもの論理があります。それは大人の社会では通用しない、子どもだちだけの論理。その論理は大人の目からすれば理不尽にも、また正当性を欠くように見えても、子どもには法律以上に大事な事。」
と、自殺した中学生の担任は言います。おそらく、著者がこの小説を通して描きたかった世界がこれなのだと思います。
子どもは、大人からは理解できない自分たちの世界を持っています。大人から見ていくら理不尽に見えても、子どもたちにとってみれば、それは何よりも優先される約束事のある世界です。
それは大人が理解し得ない、友人関係です。「人の悩みのほとんどは人間関係だ」と「嫌われる勇気」では断定されてありましたが、それは子どもにも当てはまります。自分のことを思い出して見ても、特に中学生くらいの年の時は、友人関係が世界の全てだったように思います。
夢中になって読めた本ではありませんでした。本書の世界は現実の世界とは違って、作り物の世界という感じでした。随所に「それは違うだろ」とツッコミを入れたくなるような箇所がありました。
中学生の父親が警察署を訪ねたり、息子の同級生に聞き込みをして情報を引き出したり、学校の先生から情報の提供を受けたり。
使われている言葉もどこか浮ついていて、わざと難しくてわかりにくい言葉を使っているのではないかと思いました。「逡巡」とか「反駁」とか。文節にフィットしない感じを受けました。
展開も十分に想像の範囲内でしたし。
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