子どもが親の財布からお金を盗むことへの対応

2020.04.12 (日)

子どもが親の財布からお金を盗むのをやめさせるにはどうすればいいのでしょうか。

 

 

どの家庭にも当てはまるような、すぐに対処できる方法はありませんが、対処のヒントになるようなことは話せると思います。私が書くことをヒントに、ご自身の家庭に合うような対処法を考えていただければと思います。

 

 

自己責任

まず1つ目ですが、「自己責任」ということです。僕は警察官をしていましたが、もちろん警察にも「子どもが親の財布からお金を盗む。どうしたらいいのか」という相談を受けることがありました。警察にも、「そんな時にどうしたらいいのか」というある程度のマニュアルがありまして、その一つが少年補導です。

 

 

少年補導の対象行為の一つに「金品持ち出し」というのがあるので、少年補導として処理する方法があります。けれど、この少年補導は、あまり意味がありません。ただの注意にとどまります。制服を着た警察官が注意することで何かしら自体が改善すれば良いのですが、僕にはあまり効果はないように思えました。

 

 

少年補導をすれば、警察としてはその少年や家族の情報を得られるので、そういう意味で警察にとってはメリットもあるのですが、だからといって相談に来た家庭にメリットがあるのかというと怪しいものです。

 

 

金品持ち出しではありませんが、「暴れて手に負えない」という子どもには医者を紹介することもありました。精神科への通院をおすすめするのです。ですが、これも本音で言えば、おすすめできるものではありませんでした。特に自分の子どもを精神科へ連れて行くことはしたくありません。

 

 

というのは、医者から処方される薬で、無理やり落ち着かされて帰ってくる子どもを見たことがあるからです。僕は医者ではないので薬のことは詳しくありませんが、「子どもを薬で暴れさせなくする」というのは、医者的には「精神的にポワンとした状態にする」ということなのでしょう。薬を処方された子どもは確かに暴れなくなるのですが、その代わりに失うものもあるようです。

 

 

つまり、皆んな他人事だということです。警察官も、医者も、児童相談所も、市役所の子ども相談窓口も。マニュアルはあるのだと思いますが、それを扱っている人が、結局は他人の家庭の事情を聞いているのです。マニュアル通りのことはすれども、どこまでも親身になってくれるわけではありません。

 

 

親身になったところで、マニュアルから外れたことをすれば、自分が痛い目を見ます。警察官としても、親身になってマニュアルから外れた事をすることもできたのですが、マニュアルから外れたことをすると、後で上司などに発覚したさいに、うまく説明できなくなります。「どうしていつもどおりのことをやらないのか」を説明できなくなります。

 

 

ですので、警察も医者も、どこもマニュアルから外れたことはしたくありませんし、マニュアルから外れた親身な対応ができないのです。

 

 

自身の家庭のことは、自身で対処しなければなりません。警察も医者も児童相談所も市役所も、参考にするのはいいでしょう。ですが、1から10まで頼りにするのは危険です。参考にしたうえで、自分でやり方を考えるしかありません。それが「自己責任で考える」ということです。

 

 

原因を想像する

2つ目は、原因を考える、ということです。

 

 

何かしら原因があって、その結果が「親の財布からお金を盗む」という形で表れています。「親の財布からお金を盗む」という行為そのものを責めるのは簡単ですが、それでは表面的な対処にしかなりません。流れてくる水を手で抑えているようなもので、いつ水が溢れ出してもおかしくありません。

 

 

どうすれば良いのかと言うと、原因を何とかする必要があります。水の出どころを塞いでしまえば、無理に手で抑える必要もないでしょう。

 

 

原因は各家庭で色々とあると思いますが、原因を見つける際のヒントとしては、行為よりも抽象的であるはずです。目に見える「親の財布からお金を盗む」という行為の原因は、もっとウヤムヤで、ハッキリと「これが原因だ!」と言えるようなものではないはずです。

 

 

たとえば、「親に対して不満がある」とか、「家も家庭も面白くない」などの、本当に因果関係があるかどうか怪しいものが原因のはずです。

 

 

「クラスメートからいじめられて、お金を持ってくるように言われたから、親の財布からお金を盗った」とか「どうしても買いたいものあるから、お金を盗った」などの、ハッキリとした因果関係が認められるようなものは稀です。

 

 

親としては因果関係がハッキリとした答えを求めがちですが、具体にしばられるのも人間です。僕たちはウヤムヤなものよりもハッキリとしたものの方を好むので、明確な答えがあるとそれに飛びつきやすいのですが、大抵それは物事の本質からはズレています。抽象的でわかりにくいから、根本原因足り得るのです。

 

 

わかりやすいハッキリしたものにとらわれず、うやむやで抽象的なものを扱う頭が必要です。

 

生活に変化をつける

3つ目に、「では実際にどうしたらいいのか」というと、何かしら変えてみることです。生活に変化をつけるのです。理想を言えば「引っ越しをする」とか「親が仕事を変える」なんかの大きな変化のほうが影響がありそうですけど、小さな変化でもいいと思います。

 

 

何が効果的に影響を与えられるかどうかは、やってみなければわかりません。子どもに関係のありそうなことに、とりあえず変化をつけてみましょう。習い事の日程を変えてみる。食事に変化をつける。いつもと違う店で買い物をする。

 

 

「こんなのが関係あるの?」と思えるようなものが案外、効果的であったりするものです。

 

 

たとえば以前、同じように「子どもが親の財布からお金を盗む」という相談を受けたことがあったのですが、そのときの対象法として効果があったと思われるのは、夫婦関係の改善でした。夫婦関係に変化をつけてみたそうです。

 

 

それまで悪口を夫婦間で悪口を口汚く言い合うことが頻繁だったそうですが、親自身の口喧嘩が醜かった事を指摘したところ、それを自覚したのでしょう。夫婦間のイザコザが改まったところ、「子どもが親の財布からお金を盗むことがなくなったように思う」とのことでした。

 

 

もちろん、「本当に夫婦間の変化だけで子どもの盗みグセが直るのか」というと、どの家庭にも必ず当てはまるとは言えません。ですがこのことの教訓は、「何かしら変化をつけること」にあると思います。

 

 

一見、関係の無さそうなことでも、目に見えないところで繋がっているものです。確かに、変化をつけることに対する抵抗はあるでしょう。ですが、「こんな事関係ない」と考えることは、見なくてはならないものを見ないようにするための言い訳にも聞こえます。「こんなことは関係ない」と言っていれば、それをやめる理由もないわけですから。

 

 

要は、「親次第」であって「考え方による」のであって「気持ちの問題」、ということです。

 

 

参考なったような、ならなかったような感じでしょうか。これをヒントに、ご自身の家庭に上手くマッチする方法を考えてみていただければと思います。

 

 

 

 

 


 

 

 

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