どうして警察は取り調べで被害者に対してひどいことを聞くのか
どうして警察は取り調べで等で、傷口を広げるようなひどい事を、被害者にわざわざ聞いたりするのでしょうか。
例えば、痴漢の被害者に対して「どうして抵抗しなかったの?」と聞いたり。
例えば、傷害の被害者に対して「逃げられなかったの?」と聞いたり。
例えば、交通事故の被害者に対して「ハンドルは切らなかったの?」と聞いたり。
そんな警察官の言動を聞いていると、「なんでそんな事をわざわざ聞くんだよ!」「分かり切ってる事を聞くなよ!」と警察官を責めたくなる気持ちもわくでしょう。
「被害に合う方が悪いって言いたいの?」と、警察官の言葉の裏を読みたくなる気持ちもわくでしょう。
被害者に対してこのような答えづらい事を聞くのは、立件するためです。この事件が起訴するに足る要件を満たしている事を明らかにするためです。相手を犯人として罰するためなのです。
たとえば、痴漢の被害者に対して「どうして抵抗しなかったの?」と聞く警察官は、「あなたが抵抗すれば、痴漢の被害に合わなかったのに、どうして抵抗しなかったの?」と思って聞いているわけではありません。
当時の状況を明らかにしたくて質問しているのです。「どのくらいの恐怖を感じたのか」「どんなに怖かったのか」「どんなに恐ろしい目に合ったのか」と言う文言を聞きたくて、調書に載せたくて、質問を投げかけているのです。
当時の状況を「抵抗できないくらい恐ろしかった」「抵抗できないくらい怖かった」「抵抗できないくらいの恐怖だった」」というニュアンスで調書に表現したいので、本人に言ってもらいたいのです。
なぜなら、警察官が勝手に想像で「抵抗できないくらい怖かった」などと調書をとるわけにはいかないからです。調書に書くには、相手に話してもらわなくてはならないのです。
取り調べなどの際に、警察官が事件の被害者に対してわざわざひどい事を聞いて、事件の傷口を広げるのは被害者を責めているのではありません。ただ当時の客観的な状況が知りたいのです。
この事件は起訴できるのか。犯人を、犯人として罰することができるのか。この事件に、起訴するだけの要件がそろっているのか。と言う様な事を聞きたくて、わざわざ被害者の傷口を広げる様な質問をするのです。
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