ウェブプレゼンは追い抜くチャンスだ。人前が苦手な人が先頭に立つ
ウェブプレゼンの面白さについて。
この間、「ウェブプレゼンはチャット機能を使えるから面白いよ」「チャットを使えば新鮮な感想を事細かに追えるので、コレを使わない手はないよ」というコラムを書いたのだけれど、リアルのプレゼンにはないウェブプレゼンだからこその強みをもう一つ思い当たった。
それは「人前で話す必要がない」ことだ。
これは他の人が書いた文章を読んでいて「そう言えば」と思い当たったのことだ。その文章を書いた人はウェブプレゼンに対して、「画面に向かって話しかけなくてはならないのでつらい」ようなことを書いていた。リアルなプレゼンであれば聴衆を前にして話すことができるので、聴衆の反応を見ながら話すことができると。それなのにウェブプレゼンでは聴衆の反応をつかむことができないので、話すのが難しいと。
これは僕にとっては思いがけない感想で、「人前で話す必要がないのであればそれに越したことはないじゃないか」と思ったのだ。それと同時に、「確かにウェブプレゼンとは人を前にして話すのではなく、ディスプレイを前にして話す行為だな」と。これって今まで人前で話すのが苦手な人にはチャンスなんじゃないかと。
僕は人前で話すことが苦手だ。もちろん、仕事で「人前で話して」と言われれば、ある程度は話すことはできる。けれどそれは素の自分ではない。人前で話すようの仮面をつけた、作られた自分である。作られたものでない素の自分は、人前に立つ時は中の方で縮こまっている。素では「人前が怖い」と思いながら、外面の仮面をつけてしょうがなく人前で堂々と話しているのだ。もしも人前で話すことがないのであれば、それに越したことはない。
ウェブプレゼンでは人前に立つことの恐怖がない。どうしてか。目の前に聴衆がいないからだ。登壇したときに見える、目の前に広がる頭の数々、並んでいるこっちを見る目、連なる面々、渦巻く思慮を感じない。あるのはディスプレイのみ。スマートフォン、あるいはパソコンの画面。無味乾燥な工業製品が自分の目の前にあるだけだ。
これは人前が苦手なプレゼンターにはチャンスではないか。前を走っていた者を追い抜くチャンスだ。今までプレゼンといえば、人前で話すのが得意な人の土壇場だった。悔しいけれど、人前で話すのが得意、苦にならない、勝手に口がしゃべる、という人はいる。
そういう人は場を作るのがうまい。空気を組み上げてしまう。その場で雰囲気を自分の好きな方向に持っていく。自分の話したい内容と聴衆が聞きたい内容の接点をうまく見つけて、即興で話を作り出して聴衆を引き込んでいく。
僕みたいに人前に立つことが苦手な人は、リアルなプレゼンでは進んで前に出ることができなかった。どう練習しても、どう頑張っても、どう場数を踏んでも、「人前が苦にならない」状態にはならなかった。でもって「人前が苦にならない」ことと、「人前が苦になる」ことの差は大きい。聴衆を魅了する際に、にじみ出る違いとして表れる。
けれどウェブプレゼンでは人前に立つ必要がないのだ。登壇しても目の前に人はいない。聴衆を巻き込んで即興で話をする必要はないし、聴衆の反応をうかがって話し方や話の内容を工夫する必要はない。自分の話に集中することができる。練り上げた話の順序を追っていくだけだ。
これは「本番が練習どおりにいく」ことを意味する。リアルなプレゼンの場合、いくら練習しても本番ではうまくいかないことが常だった。どうしてか。練習とほ本番には隔たりがあるからだ。練習の場では聴衆を作ることができない。こっそりと練習することができない。
いくら部屋で一人で練習しても、本番にいるであろう聴衆がいないので、練習と本番は別物だった。
対してウェブプレゼンでは、本番も目の前に聴衆はいない。本番の舞台に立っても練習どおりの舞台をつくることができる。練習でも本番でも見ている風景は同じ。殺風景な、自分が映っているディスプレイのみ。
これはとてつもないアドバンテージじゃないだろうか。今までは人前に立つのが得意な人が先を走っていたのだ。けれどそんな序列はコロナ禍によって変わってしまった。コロナウィルスによって、密になることのリスクが浮き彫りにされたからだ。
ジャレド・ダイアモンド先生の「銃・病原菌・鉄」でさんざん、歴史におけるウィルスの効果については指摘されていた。ヨーロッパ人がアメリカ大陸を占領していったときに、すでに集団生活をしていた側とそれまで集団生活をしていなかった側では、ウィルスへの耐性に違いがある。ウィルスの蔓延は、集団生活によってもたらされた負の面だ。
コロナウィルスによって、改めてウィルスへの対応を求められるようになった。人前で話すことよりも、これからはディスプレイの前で話すことを求められるだろう。プレゼンターの前にあるのは聴衆ではなく、画面のみである。
プレゼン本番でも練習どおりの環境があるだけなので、聴衆の存在という本番のリスクが最小限になる。コロナ禍でのプレゼンは、人前に立つのが苦手な話者に軍配が上がる環境なのだ。
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