たくさん遊んだ夏休みと一緒で本来、充実感しかないはずだ。なぜ僕らは働くのか

2020.07.11 (土)

池上彰氏監修の「なぜ僕らは働くのか」という本が売れているらしい。朝日新聞の4面に広告が載っていて、「たちまち20万部突破!」という文句が踊っていた。

 

 

さて、なぜ僕らは働くのか。

 

 

おそらく「働く」というのは、自分の可能性を広めるための一番いいやり方なのだろう。周りからインプットして、自分の中で解釈して、それから出来たものをアウトプットする。仕事とは、インプット・解釈・アウトプットの繰り返しだ。

 

 

世の中には星の数ほど仕事はあれど、基本的には‥というか単純化すればこの流れの繰り返しが仕事なのだと思う。警察官だってそうだ。町中に出れば、人々が流れているし、車だって流れている。その状況を即座に読んで、祖までに勉強してきたことも含めて、自分なりにどうすれば成果が上がるかを考える。どうすれば職質で犯罪者を見つけられるか、どうすれば交通切符をうまく切ることができるか、どうすれば効果的なパトロールができるか、を考え自分なりの答えを出す。つまり解釈する。その上で実践だ。実際に職質してみて、交通切符を切ってみて、パトロールをしてみて、アウトプットするのだ。

 

 

このインプット、解釈、アウトプットの流れを、モチベーションの中で繰り返すことができる。モチベーションがあるから続けることができる。モチベーションとはお金である。お金をもらう、というわかりやすいニンジンを目の前にぶら下げられている中で、このインプット、解釈、アウトプットの繰り返しを続けられるのだ。

 

 

この繰り返しは何にでも言えることで、人の成長の基本だろう。夏休みの研究だってそうだ。アサガオを観察して、自分なりの表現を付け加えて、発表する。遊びだってそうだ。日々インプットしてきたことの中から、自分に合う遊びを選び取って、実践する。

 

 

この繰り返しを、形を変えてしているだけ。

 

 

で、「なぜ僕たちは働くのか」という問いは、「なぜつらい思いをしてまで働くのか」とか「どうして好きでもない仕事に人生を費やさねければならないのか」という意味が含まれていると思うのだけれど、仕事がつらいと思うのは、自分に合う仕事を見つけられていないからだと思う。

 

 

僕は「仕事は本来つらいものだ」という意見には反対だ。仕事は本来、面白いものであるべきだ。なぜなら、インプット、解釈、アウトプットだからだ。これほど自分の世界を広げさせて、自分を成長させてくれるものはない。しかも出来高次第でお金ももらえる。

 

 

ときどき「仕事はつらいからこそ、その対価としてお金をもらえる」という人がいるけれど、その人は心から面白い仕事をしたことがある体験がないのだろう。だから、もしも仕事が面白くないのなら、面白くする努力が必要だ。まずは「仕事は面白いもの」という前提を設定することが必要だ。

 

 

仕事は面白いものであって、日々仕事を面白くする努力が必要なのだ。仕事を面白くする努力とは、自分に合う仕事を探すことでもある。本来であれば仕事は面白いものであるのだけど、世の中そう、うまく理想どおりになっているものでもない。

 

 

人は星の数ほどいるし、仕事も星の数ほど存在する。組み合わせ次第で、仕事は面白くなくもなる。自分には合わない仕事もでてくるだろう。本当は面白いけれど今の人間関係だと面白くないということもあるだろう。

 

 

ただ、「仕事は面白いものだ」という本来の目的を忘れない限り、たとえ仕事が面白くない状況になったとしても、また仕事を面白いものに変えることができるのではないか。

 

 

警視庁の警察官が拳銃自殺するという事件が発生した。第五機動隊の隊員が、自分の腰にぶら下げていた拳銃を自分のこめかみに当てて引き金を引いたのだ。

 

 

彼にとって、仕事は絶望以外のなにものでもなかったのかもしれない。面白くなく、つらく、絶望。そんなものが自分の上から覆いかぶさって人生を方向づけていたのかもしれない。

 

 

仕事は人生の非常に大きな割合を占めている。それは「結果的にそうなる」のではなく、本来そうあるべきだからこそそうなっているのだ。それは仕事が、インプット、解釈、アウトプットの繰り返しで、しかも楽しいものだからだ。趣味とか特技と同じ。その延長でしか無い。自分の興味の対象。好きなことをするのと仕事との区別がない状態。それが理想の仕事だし、本来の仕事の姿だろう。楽しいことなのだから、人生を占めて当たり前だ。

 

 

「仕事」という言葉が悪いのかもしれない。何かお役所的で、どこか堅苦しいイメージが付きまとってしまう。日常から隔絶された、趣味とは一戦を引いた「苦しいもの」という認識を持ってしまう。

 

 

僕は自分の意見を書いているときが一番楽しい。本を読んで、ネット情報を読んで、自分が直接に体験して、そうやってインプットしたものを補強材にして自分の意見をアウトプットしているときが、充実感を感じる。この充実感は、子どもの時の無邪気な感情と一緒だ。

 

 

プラモデルを作っていたり、粘土で工作を作っていたり、絵を描いていたり。僕は馴染みがないが、おそらく楽器を演奏する人も似たような充実感を得ているのだろう。スポーツをやっている人も、自分なりの表現をしている限り、似たような充実感を持っているはずだ。仕事はこれと変わらないのだ。

 

 

仕事は本来、楽しいものである。趣味と変わらない。楽しいこととの境目なんて無い。延長であるべきだ。なのに仕事が苦しいのは、自分に合わない仕事をしているからであり、そこには仕事は面白いもの、という前提が欠けているのではないか。

 

 

自分に100パーセント合う仕事を見つけるのは難しいし、どれだけ探しても「これが100パーセントマッチする仕事だ」とはならないだろうが、それでも模索することは必要だろう。模索の中で少しづつ前進するしかないし、その中で充実感は徐々に吹き出してくるので、それを目安に仕事を方向づけよう。

 

 

 


 

 

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