警察社会ではよく優秀な若手のことを「やる気がある」と言うが・・
優秀な若手のことを「やる気のある奴」と言ったり、若手が良い動きをした際に「やる気があって良いな」と評価したりしていないだろうか。
優秀な若手を評価する際に、「やる気がある」とは言わないほうがいい。もし普段から「やる気がある」と言う言葉を使っているのであれば、即刻改めたほうがいい。「やる気がある」とは、相手を見下した評価である。どこか従属的な匂いのする言葉だとは思わないだろうか。「やる気がある」と言うと優秀なだけでなく、従順である、自分の言うことを聞く、自分の思い通りに動く、自分と価値観が同じである、そんなニュアンスのする言葉ではないだろうか。
だから、若手に対して「最近の若手はやる気があるな」「この若手はやる気があるな」なんて使っていると、自分に対して従属な人間ばかりヲッ評価していることになりかねない。どこか自分は椅子にふんぞり返って、セコセコ働く人間を上から目線で見下して評価している雰囲気がある。自分や組織の思い通りに動く、想定範囲内の優秀さのみを評価する、どこか視野の狭い感じのする言葉であろう。
まるで、お殿様が使う言葉のようである。絶対的な立場の人間が、自分自身が視野が狭いにも関わらず、狭い自分の視野の中でのみ評価できる人間を「よしよし」と言っている雰囲気がある。裸の王様のようなものだし、自己矛盾劇場の「笑われていることに気づかない演者」のようである。
それでは、狭い自分の頭では評価しきれない様な容積を持った部下を評価できないではないか。もしも自分よりもはるかに器の大きい部下ができた時に、評価できないではないか。自分よりも遠くを見ていて、自分よりも広い視野を持った部下が出てきた時に、その部下を過小評価してしまいかねないではないか。
もし若手を評価するのなら、「やる気がある」などとは言わず、もっと別の言葉で評価しよう。他の言葉があるはずだ。「やる気がある」では、あまりにも大雑把である。
そもそもどんな若手に対して我々は「やる気がある」と言っているのかと言うと、
・行動力がある
・失敗を恐れない
・一生懸命である
・腰が軽い
など、精神的なものを評価している時なのではないか。成果が出ずとも、失敗を恐れないで相手に立ち向かって行っているときに「やる気がある」と感じるだろう。腰の重い、いつまでたっても動かない人間よりも、すぐに動く行動力があって、パッと飛び上がってどこまでも駆けていくような腰の軽いものを見た時に、「やる気がある」と評価しているだろう。例え自分の背よりも高いハードルでも、一生懸命に立ち向かう姿勢を持ったものに対して「やる気がある」と言うだろう。
大雑把に「やる気がある」と言っていては、自分の視野では判断がつかないような大物が来た場合に、評価できなくなってしまう。「やる気がある」とは、どこか自分の思い通りに動いている、自分と同じ価値観を持った人間を評価する言葉である。「自分に従順」というだけで「やる気がある」と評価してしまいかねない。
「やる気がある」と言いたくなったら、他の言葉で表現してみるといい。「行動力がある」「腰が軽い」「失敗を恐れない」「一生懸命」など。そうすれば、もっと正しく若手を評価できるだろう。自分とは価値観の違う若手、自分の測定器では計り知れない器を持った部下を見逃してしまうこともなくなるだろう。
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