優しさの短所とは(その2)

2019.10.12 (土)

行動できなくなる

 

 

さらに、行動できなくなります。これは哲学を学ぶことに似ています。哲学とは、物事を究極的にシンプルに突き詰めていくと何が待っているのか、という学問です。究極的には何なのか。一番の根源は何なのか。本当に正しいものは何なのか。一番のものは何なのか。そんなものを追求していく学問です。哲学は、イメージでいうとピラミッドの最上段の石になります。その下にある全ての石の延長上にあるものです。全てにつながっているのです。

 

 

ですが、それゆえにあんまり働いていないイメージです。実際にピラミッドの石は、下に行けば行くほど働いているのではないでしょうか。ピラミッドを構成するそれぞれの石たちは、下に行けば行くほど、負担は重くなるのだと思います。最上段の石なんか、自分の上には石がないので、おそらく重さは感じていないでしょう。実際に働いているのは、下の底辺の石たちなのです。実際に行動しているのは、哲学とは程遠い人間なのです。というのも、哲学を追求しようとすると、足が止まり、筆が止まり、考えを進めることができなくなるのです。それまで思い切り相手のスペースに切り込んでいっていたのに、哲学を学んだ途端に用心深くなるのです。

 

 

というのも、色々と想像してしまって、何もないところにも何かが隠れていることを想像してしまうからです。追求すると、全てを疑ってかかってしまうのです。見えないところに敵が見えたり、何もないところに罠を想像しようとします。それゆえに、勢いにまかせた切り込みができなるのです。それまで余計なことを考えないで動けていたものが、思慮深くなった途端に動けなくなります。

 

 

想像によって、あらゆる可能性を想定内に持ってこようとしてしまうからです。割り切りも必要なのでしょうが、割り切ったと思っている裏にも何かを見ようとするのが抽象的な視点の持ち主です。それゆえに、相手に対してひどいことを言えなくなるし、たとえ自分が優勢になったとしても優勢になっている自分をもう違うので、優勢になることにこだわらなくなり、相手に勝てなくなるのです。これは、優しさを持った人間、抽象的な視点を持った人間の宿命です。

 

 

人から嫌われる

 

 

人から嫌われもします。これは「相手に伝わらない」ことにも繋がるのですが、人に自分を伝えることが困難になるので、その結果として嫌われるのです。「何をやっているのか分からない」「何をやろうとしているのか分からない」「何を考えているのか分からない」と思われて、その結果として距離を置かれるのです。逆に考えると、このような考えを相手に対して持つということは、その分野において、「その人よりも視点が低いのでは」と言えるかもしれません。

 

 

例えば、「AかBか決めてくれ」という時に、優しがあり抽象的な視点を持っている人は、すぐに「こっちだ」と決めることができません。あらゆる可能性を想像できるからです。それゆえに、結局は「じゃあ、お前の意見はどっちなんだ」と言われて嫌われてしまうのです。おそらく抽象的な視点を持っている人も、「君の意見を聞かせてくれないか」と言われれば、意見を言うことができるでしょう。ですが、その意見に前提条件や枝葉がとてつもなく付随してしまうのが、抽象的な視点を持った人なのです。

 

 

抽象的な視点を持った人にとって、一つ一つはマスの目のようにハッキリと分かれているのではなく、おそらく灰色の部分が多くなっているはずです。虹のように、グラデーションになっていて、境界線らしい境界線はないはずです。と言うのも、メリットの裏にはデメリットがあり、デメリットの裏にはメリットがあることが分かっているからです。それゆえの優しさや寛容さでもあるのです。

 

 

たとえデメリットを引かざるを得ない、引き受けざるを得ない状況になったとしても、抽象的な視点を持っていれば、その裏にあるメリットを見つけようとします。「これだけのデメリットがあるのだから、同じようなメリットが見えるはずだ」という考えです。だから、「どちらでもいい」のです。メリットを選ぼうとデメリットに転がり落ちる可能性があるし、デメリットを選ぼうとメリットに変わる可能性があります。それらの両方を見えているので、ハッキリと「どちらが良くてどちらが悪い」とか「どちらが有利でどちらが不利」という判断ができなくなります。それゆえの抽象的視点であり、だからこそ、人に優しくできるのです。

 

 

職場にも仕事が遅い人がいるはずです。そんな人と接するときも、「仕事が遅い」というデメリットばかりを見ず、色々な角度からその人を見ようとするのが抽象的な視点を持った人です。それゆえに、「仕事が遅い」というデメリットも「数ある側面のうちの一つ」であることが分かっているのです。

 

 

まとめ

 

 

というわけで、優しさを持っている人のデメリットとしては、「相手に伝わらない」「対立で負ける」「行動できなくなる」「人から嫌われる」などがあります。実際には、どこを切り口にするかで、デメリットは無限に出てくるでしょう。ただ優しければいいのではなく、ただ抽象的な視点を持っていればいいのでもありません。抽象的な視点と同じように、具体的な視点も必要なのです。優しさと同じように、厳しさも必要なのかもしれません。

 

 

ただ、我々は具体的なものにひかれます。分かりにくいものよりか、分かりやすいものの方を好みます。大雑把よりは細かい方に人数は集まりますし、インパクトがないよりはインパクトがある方に引き寄せられます。なので、具体から常に引っ張られていることを念頭に起きつつ、「どっちも同じように大事」と考えるのがいいのだと思います。優しさのデメリットを紹介しました。

 

優しさの短所とは(その1)

 


 

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