よのなかを変える技術 〜 非行や子育てについて考えるためのブックレビュー
この本は、ソーシャルデザインを提唱する本です。ソーシャルデザインとは、世の中の仕組みを変えることです。
今、私たちが生きている社会には、古くて間違った仕組みがたくさんあります。当たり前だと思って、何の疑いも持たずに接している社会の仕組みです。もしかしたら、身近にありすぎて、接していることすら意識していないかもしれません。
そんな悪い社会の仕組みを変え、より良い社会をつくろうというのが、著者の主張です。
この本は、14歳の読者に向けて書かれています。対象となる読者は主に、中学生くらいの、これから社会に出て行く子どもたちです。
我々大人は社会の常識を多分に受け入れており、感覚がマヒしている部分があります。社会で違和感を感じても、それを改善しようとはしません。「これはダメだな」「これは違うんじゃないか」と思っても、追究しようとしません。「仕方のないことだ」「そんなのは社会の常識だ」と、知らず知らずのうちにあきらめてしまっています。
私もかつては子どもだったのですが、いつの間にか大人になり、社会の常識を受け入れて生きてきました。大学卒業後、社会人として過ごした人生において、失敗するたびに自分の殻を大きく厚くし、感覚を自ら鈍くし、社会の矛盾や問題に鈍感になってしまいました。
今また「社会を変えよう」「自分を変えよう」と思い、コラムを書き、ネットを使って情報を発信しているのです。私はこの考えに至るまでに回り道をしました。決してこの回り道が私にとって無駄だったとは思いませんが、もっと近道があったのも事実です。
14歳の子どもたちには、よのなかを変える、ソーシャルデザインという道にぜひ気づいてほしいと思います。この本には、ソーシャルデザインの入門としての知識が書かれています。本書をソーシャルデザインの最初のステップとして活用してほしいと思います。
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