「それって人それぞれだよね」は本当か(その1)

2019.10.24 (木)

2020年に来る注目コンテンツは哲学だ。哲学が来ると私は確信している。今日本では、問題が山積している。犯罪はなかなか減らないし、オレオレ詐欺もいまだに健在だ。ますます進む少子高齢化で、だまされてお金を取られる高齢者は今後も増えるのではないか。経済だっていまいちパッとしない。多くの人が「富める人とそうでない人がいて、格差が広がって、自分はどっちになるのだろう」と不安を感じているのではないか。思想やスポーツだって、いまだに欧州の後ろにいる感じだ。ラグビーのワールドカップで日本中が沸いているが、健闘した日本チームの前にあるのは、強力な欧州の背中だろう。

 

 

そんなモヤモヤ感がくすぶっている社会において、これまでにない跳躍をするにはブースターが必要であって、そのブースターの役目を担うのが、哲学だと思っている。もちろん哲学というのは、今までも社会とともにあった。これまでも哲学の潮流はあったし、いつの時代でも哲学を重んじる人はいる。この、これまでも我々とともにあった哲学が、より一層身近なものになるのが、そろそろだと思うのだ。飛び立てそうで飛び立てない、弾けそうで弾けられない。そんな閉鎖感、閉そく感を崩し、我々に扉の向こう側を見せてくれるのが哲学だと期待している。

 

 

我々は人間関係を考えたり、話を前に進めようとして人と議論しているときに「それって人それぞれだよね」ということを前提にしていたり、対立の解決方法として「人それぞれだから、しょうがないよね」という考えに行きついたりしていないだろうか。

 

 

例えば「皆んなで飲み会でもしよう」となったときに、まずは店を決めなければならない。「どこの店にしようか」となったときに、いろいろな案が思い浮かぶだろう。参加者それぞれから、「この店がいい」「こっちの店の方がいいんじゃないか」という意見が出ることだろう。参加するメンバーが一斉に一つの店を指差して「この店にしよう」というのであれば話はトントン拍子で進んで飲み会の計画も前進するのだが、現実はそうもいかない。餃子を食べたい人もいるし、ビールが美味しいお店に行きたい人もいる。新宿がいい人もいるし、「横浜なら行ける」という人もいる。雰囲気を重視する人もいるし、コスパにこだわる人もいるだろう。みんなが色々な価値観を持って、それぞれが独自の考えを持っているのが当たり前だという、もはや意識すらしていない前提で、飲み会の計画を進めようとする。

 

 

例えば仲間と一緒に道を歩いていて、目の前にAという道とBという道があったとする。分かれ道だ。これまでも一緒に道を歩いてきたのだから、できればこれからも一緒に道を歩いていきたい。皆んなが同じ方向に歩いていきたい。そこで、Aの道を行くべきか、それともBの道を行くべきかを決めることになる。あなたはAの道の方が良いと思っている。Aの道の方がBの道よりも、自分を含めメンバー皆んなにメリットをもたらすと思っているのだ。そこであなたは、いかにAの道が素晴らしいか、他のメンバーに向かって説明をするのだ。自分がAを勧める理由。なぜAが良いと思うのか。Aを選んで進んだ先に、何が待っているのか。反対にBを選んだ場合、自分たちはどうなってしまうのか。それはAを選んだ場合と、どれだけ違いがあるのか。あの手この手を使って、Aを推す理由を説明しようとする。全身全霊を尽くしてAを説明し尽くした。

 

 

では、これでメンバー全員が自分の考えをわかってくれて、Aの道を歩いてくれるかというと、そんな保証は無いだろう。「それでもBの方が良い」というメンバーが出てくる可能性は否定できない。それまで一緒に歩いてきたメンバーとはいえ、それぞれ独自に価値観を持っているのだ。自分の知らないところもあるだろうことは、容易に想像できる。いくら同じ釜の飯を食ってきた仲間だとはいえ、自分と他のメンバーは、完全に同じ人間ではない。同じ人間ではないのだから、食い違いがあって当然なのだ。それぞれが、それぞれの視点から物事を見ているから多様性が生まれるし、意見の違いが出てくる。それぞれ違う価値観を持っていることは、当たり前なのだ。

 

 

この「人それぞれだよね」という考えは、ケンカやトラブルを収める際に、非常に有効である。例えば私は警察官をしていたが、警察官というのは、ケンカやトラブルを収めるために存在するようなものである。一般的に警察官というと「犯罪者を捕まえる」というイメージがあると思う。確かにそのイメージは間違っていないが、警察官が年がら年中、犯罪者を追っているのかというと、そうではない。警察官は仕事の中で、犯罪者と一緒にいることが多いのかというと、決してそうではない。

 

 

実際には、犯罪になりそうでならない、犯罪には至らないケンカやトラブルの関係者を相手に仕事をしていることが多いのだ。犯罪には至らないケンカやトラブル。酔っ払いどうしがトラブルを起こしたり、チンピラがケンカをしたり。そんなことは日常茶飯事だ。それらを丸く収めていく。その中の、丸く収まらないものが、法律や被害者感情などの一線を超えて、犯罪として扱うことになるのだ。ケンカやトラブルというピラミッドがあるとしたら、その最上段の数個が犯罪になるのである。

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警察官が、イライラの感情という素朴で身近な、ともすれば大きくなりがちな分野で語ることはないのではないでしょうか。というのも、警察官は感情をなくして機械的で形式的な仕事をする人間だし、そうであることが求められがちな職業だからです。この本では、元々警察官をやっていた人間が、その時の経験を元に、実は警察官に身近な感情であるイライラについて、そのイライラをなくす考え方を紹介します。

 

実は、警察官にとってイライラというのは、最も身近な感情です。というのは、警察官がイライラの矢面に立つ仕事だからです。

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