世界標準の子育て 〜 子どもの非行を防ぐためのブックレビュー
子育て本としては、以前コラムに書いた「一流の育て方」以来のためになる本だったように思います。子育て本というジャンルは、どうしても著者自身の子育て経験に隔たった内容であるものが多いため、ドヤ的な論調になることが多いのですが、本書に関してそのような感じは受けませんでした。
著者自身が、子どもの教育プログラムを提供する会社を経営しているとの事で、その塾での経験がこの本の内容に活かされています。
第1章 「世界標準」の子育て3つの条件
第2章 海外の子育て、日本の子育て
第3章 日本人の子育て7つの間違い
第4章 「自身」を育てる3つのステージ
第5章 「考える力」を育てる3つのステージ
第6章 「コミュニケーション力」を育てる3つのステージ
第7章 子育ての「壁」への対処法
著者は、子育てに重要なのは「自身」と「考える力」と「コミュニケーション力」を育てることだと説き、その育み方を年齢別に説明しています。欧米や日本以外のアジア国と日本の子育ての違い、他の国の子育てに学ぶ点を、「自身」「考える力」「コミュニケーション力」を軸に展開しています。
私が本書で印象に残ったのは、子どもの習い事として「演劇」を進めているところです。著者の説明では、演劇はイギリスでは必修科目になっている学校もあるとの事です。
アメリカの学校でも演劇部というのは、オーディションを勝ち抜く選抜をくぐり抜けて入部するような、運動部と同じくらい人気がある部活なのだそうです。
確かに演劇というのは子育てにもとても有効に思えます。多勢の目線の前に立つことになるため、自身がなくては堂々と立っていられないでしょう。メンタル面では強くなることが想像できます。
多勢に対して言葉を伝えるため、表現力というのが言葉の面でも、身振り手振り等の技術の面でも必要になるだろうと思います。伝える力が養われるだろうと思います。
ただし、稽古時間が長かったり、子どもの習い事として提供している場が少ないことなどがあり、日本ではあまり普及していないのでは無いかと思います。環境があるのであれば、演劇を子どもの習い事としてぜひ検討したいところです。
現代は、激動の時代と言われています。グローバル化が進み、国境を超えてモノ・カネ・ヒトが移動するため、競争相手は世界中です。しかもテクノロジーの進歩により、ロボットも競争相手になります。
より広い見識が必要なので、日本の育児習慣をなぞっただけの子育てでは、あまりにもリスクが大き過ぎます。本書で、もっと客観的な視点での子育てを知っていただければとおもいます。
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