イライラをなくし、優しさを育むための理論(その3)

2019.09.17 (火)

自分が見えている世界は部分であるにも関わらず、それが全体像だと思ってしまっている。しかも、そのことに気づいていない。これが、私が交通事故処理をする中ではじき出した、世のケンカやトラブルに共通する原因ではないかと思う。もっと一般的な言い方をすれば、自己中である(ことに気づいていない)ことが、イライラの原因なのである。

 

 

となれば、イライラをなくすには、主観から離れることが必要である。主観から離れて、客観の視点を持つことだ。分かりやすい、引力が強くてとらわれやすい自分視点から脱して、相手視点を持つことがイライラをなくしてケンカやトラブルを回避するには必要なのだ。そのためにはどうすれば良いのか。一歩引いた姿勢が必要なのである。

 

 

交通事故を扱う警察官の視点である。お互いの車の動きで「あの時にお前はこんな動きをしていた」「いいや、お前の方こそ、このくらい前に出ていた」などと言い合っている当事者に対し、「そんなのどっちも同じだよ」という冷めた、一歩引いた視点である。

 

 

自分の主観ではなくて、もっと高いところからの視界を意識すること。自分から離れて、幽体離脱して、空から物事を眺めるような感じ。そんな視点で自分と相手を見る必要があるのだ。そうするとどう見えるか。一歩引いて状況を眺めると、どんな光景が広がっているのか。「どっちも同じ」と思える光景が広がっているのだ。さっきまで言い合っている自分と相手が、どんぐりの背比べをしているように思えるのである。細かい差を気にして、どんぐりたちが「オレの方が背が高い」「いいや、オレの方が高い」と言い合っていたって、人間からすればどちらも同じ。言い合っていることが滑稽に思えてくるだろう。第三者的に見ると、どっちも同じに見えて、争うことがバカらしく思えるのである。一歩引くと、冷めてしまって攻撃の牙を抜かれてしまうのだ。

 

 

昔、聖闘士星矢というマンガがあった。私が子どものころによく見ていたマンガだ。その聖闘士星矢の中で、ブッダの手の平、という表現が出てくる。聖闘士星矢とは、週刊少年ジャンプに連載されていた、バトルものの漫画である。体内にある小宇宙(コスモ)と呼ばれるエネルギーを燃焼させて、素手で戦うのだ。

 

 

星矢たちが、強大な敵に対して戦いを挑んでいる。あの手この手、いろいろな手を使って相手を追い詰めようとしている。だが相手とって、星矢たちの攻撃は屁でもない。星矢たちは攻撃している。攻撃して、攻撃して、攻撃して、持っているものすべてを出し切って攻撃して。「ここまで攻撃すれば、さすがに相手も倒れるんじゃないか」というところまで攻撃したところで、突然、場面が変わるのだ。星矢たちのバック(背景)にはブッダの石像が現れて、星矢たちは、そのブッダの手の平の上に乗っている。

 

 

星矢たちが散々、敵に対して攻撃したところで、その強大な敵にとっては、手の平の上で暴れていたに過ぎないことだったのだ。これは確か、西遊記に出てきた話だっただろう。己の力を見せつけたい孫悟空が、筋斗雲に乗って宇宙の彼方まですっ飛んで行って、そこにあった棒に名前を書いてきたと。が、孫悟空が自分の名前を書いた棒は、実は仏様の指だったのだ。孫悟空は、筋斗雲に乗って宇宙の彼方まですっ飛んで行ったつもりだったが、。そんなものは仏様にとっては、手の平の上の出来事だったのだ。

 

 

しきりに攻撃する星矢たちを見る強大な敵のように、筋斗雲に乗って宇宙の彼方まですっ飛んで行ったと思った孫悟空を見る仏様のように。上から見る、一歩引いて見るということは、深さを持っていなければできないことだ。得意になって暴れているものを第三者的に見ると、その暴れている様子は実にくだらないことなのだ。一緒になって暴れようとは思わなくなるだろう。

 

 

例えば、映画館に行ったとしよう。映画館に行って、これまで見たいと思ってもなかなか見にこられなかった映画をようやく見ることができた。チケットを買って、中に入って、席に座って、「さあ見よう」とした瞬間、前の人の頭がきになる。前の席に座っている人の背が大きいのだ。しかも、その人は隣に座っている人間と話をしていて、ゆらゆらと頭が揺れている。こんなに揺れては落ち着いて映画を見ることができない。「さて、注意しようかな。どうしようかな」と思っていたら、「おい、そんなに頭を揺らすなよ」と自分が注意されてしまった。似たような経験がある人は多いのではないか。誰かに牙を向こうとしていたら、自分が注意されてしまったのだ。

 

 

このような状況は、自分が自己中であることに気づいていないことから発生する。主観から抜けられていないのだ。自分という人間を客観視できていない。自分を含めた周囲の状況を、一歩引いた位置から見ることができていない。だから、「他人を注意しようと思っていた自分が注意された」ような状況になるのである。

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